2004年7月29日(木)「しんぶん赤旗」
新潟市が発注する土木建築工事をめぐる官製談合疑惑で、公正取引委員会は二十八日、鹿島(東京都港区)や大成建設(新宿区)など大手ゼネコンと地元建設会社など計百十三社に独禁法違反(不当な取引制限)で排除勧告しました。ゼネコンへの勧告は、一九九二年五月の埼玉土曜会談合事件以来十二年ぶり二度目です。
![]() 記者会見する公正取引委員会の杉浦総一郎餐第2特別審査長(右)=28日午後、東京・霞が関の経済産業省 |
公取委はまた、市当局が談合に関与していたとして、新潟市に官製談合防止法を適用。当時の下水道建設課長ら幹部職員五人の名前を初めて文書に明記し、改善措置を求めました。同法の適用は、昨年一月の北海道岩見沢市以来二例目。
公取委によると、新潟市都市整備局下水道部などが発注する工事について、市側は一九九九年四月から昨年九月にかけ、設計金額をゼネコンや地元建設会社計五十二社に漏えい。これを受けて、ゼネコンでは下水関係は鹿島、建築部門は大成建設が調整を行い、地元では「御三家」と呼ばれる「福田組」「本間組」「加賀田組」の三社が中心となって、共同企業体(JV)の組み方や入札価格などを決めていました。
勧告では下水推進と開さく、建築各工事の計三百六十八件、発注金額は計約六百四億円が対象となりました。
官製談合がおこなわれるなか新潟市発注の工事では、二〇○二年五月の歴史博物館「みなとぴあ」関連の入札で、清水建設の共同企業体(JV)が予定価格をわずかに八十二万八千円下回る七億六千八百万円、落札率99・9%で落札するなど予定価格ぎりぎりの価格で落札するケースが相次ぎました。
しかし公取委の立ち入り後、同市が予定価格の事前公表などの措置を取ったことがあり、昨年度後半の落札率は86・3%まで低下しており、官製談合のなかで高値で落札した疑いもでています。
官製談合防止法 公共工事を発注する自治体側職員が談合に関与したと公正取引委員会が認定した場合、この法律に基づき、自治体などの代表者に改善措置を求めることができます。
自治体などは内部調査を実施、調査結果と改善方法を公取委に通知し、公表する義務があります。さらに、関与職員の行為が懲戒処分に当たるかどうか調査するほか、故意や重過失があった場合には職員に損害賠償を求めなければならないとの規定もあります。
昨年一月施行。同月、北海道岩見沢市の談合事件で初めて適用されました。
公正取引委員会が今回、大手ゼネコンへの排除勧告に踏み切った背景には、根深いゼネコンの「談合」体質があります。排除勧告は十二年ぶりですが、この間も公取委は再三、ゼネコンに“警告”を発してきました。
関西談合のドンといわれた故平島栄・元西松建設相談役の告発を受けた際も公取委は大手ゼネコンに行政指導である「警告」(一九九八年)をしました。二〇〇二年にも公取委は、東京・多摩地区の土木工事をめぐり大手ゼネコンなどに課徴金納付命令をだしました。(現在、審判中)
しかし国や地方自治体が発注した工事の大半は、ゼネコンと発注官庁が一体となった官製談合となっています。だから公取委は、ゼネコンへの排除勧告とともに新潟市に官製談合防止法の適用をしたのです。
今回の排除勧告について大手ゼネコン関係者は「入札公告があったばかりの『羽田空港滑走路再拡張事業』に影響がでないか心配だ」といいます。談合を断罪されたことへの反省ではなく、総事業費約一兆円といわれる巨大プロジェクトに参加できるかどうかを心配しているのです。
談合の取り締まり強化を狙い公取委は、先の通常国会に現行の課徴金(大企業の製造業で売上高の6%)を二倍程度に引き上げる独占禁止法改正案を提出する予定でした。しかしこの課徴金引き上げに日本経団連が猛反発。自民党も法案提出に難色を示したため、先送りとなりました。
ヨーロッパの制裁金は日本の実質五倍前後にものぼります。今回の公取委による排除勧告は、このような独禁法改正に背を向けた財界、自民党に警鐘を鳴らすものです。
(山本豊彦記者)