日本共産党

2004年7月25日(日)「しんぶん赤旗」

福井豪雨

「越前漆器」に大被害

「悔しいが開き直るしか…」


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泥に漬かった漆器を運び出す人たち=24日、福井県鯖江市

 福井県鯖江市河和田町地区は、千五百年の歴史を持つ「越前漆器」の街です。「福井豪雨」はその街を容赦なく襲いました。豪雨から一週間になろうとする二十四日、同地区とその周辺地区を訪ねると、「漆」の文字をいたる所で目にします。大通りは車が通るたび、乾いた泥が舞い上がるため、作業員は防じんマスクが必要。散水車も出動しています。

 河和田町地区の細い道に入ると、床下の泥を一輪車で運び出す井上清孝さん(40)の姿がありました。高校を卒業して二十年、「角もの」といわれる重箱やお盆などの漆塗りの仕上げをする職人です。八月が納期の漆器を手にし「仕事はどうなるか分からんの。まず日常生活を元に戻さんと」。

 同地区の販売業の山田一典さん(34)は自宅から離れた倉庫で、十人以上のボランティアと泥に漬かった商品を山積みにしていました。泥に混じって鮮やかな朱色のおわんが見えます。「(被害は)一千万円くらいかな。悔しいが開き直るしかない」とつぶやきました。

 「被害がいくらになるか考えたくもない」というのは、片山町地区の卸業の男性(47)。この地域は業務用漆器で九割の全国シェアを占めます。「仕事を取られんように頑張らんと」と語りました。東海・北陸信越総局 唐沢俊治記者


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