日本共産党

2004年7月19日(月)「しんぶん赤旗」

小泉首相の私的諮問機関

防衛懇でこんな議論


 政府が新たな「防衛大綱」の策定作業を進めているのにあわせ、小泉純一郎首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・荒木浩東京電力顧問)が今年秋ごろの提言を目標に会合を重ねています。そこで何が話し合われているのか、公表されている議事要旨などから見てみました。

“海外派兵は間接防衛”

 懇談会は今年四月、「新たな安全保障政策の構築と防衛力全般の抜本的な見直し」について首相に提言することを目的に設置されました。これまでに六回の会合を開いています。

 議論の焦点の一つは、「国際平和協力」を口実にした自衛隊の海外派兵拡大です。

 懇談会の初会合であいさつした首相は「大量破壊兵器の拡散の進展、国際テロなどの新たな脅威への対応が大きな課題」と述べるとともに、「わが国として国際社会の平和と安定のために、主体的、積極的に取り組んでいくことも極めて重要」と強調し、海外派兵のいっそうの推進を表明しました。

 これを受け、懇談会では「国際平和協力や(日本)周辺事態における協力に積極的に取り組むことが必要」などの声が相次いでいます。

 「国際平和協力は、第三者的に貢献するというより、国際的な安全そのものがわが国の国益であるという考え方が必要である。わが国の国土に被害を及ぼさないよう、できるだけ前方で食い止めるという観点から、間接的防衛又は間接的安全保障と言える」という意見まで上がっています。「国際平和協力」というものの、かつて日本が「満蒙は日本の生命線だ」といって侵略戦争に突き進んだことを想起させる発想です。

 海外派兵が自衛隊法で本来任務に位置付けられていないことについても「国際平和協力業務が、運動競技会に対する協力と同様の位置付けになっているのはおかしい」「(周辺事態法に基づく米軍への)『後方地域支援等』も、国際協力以上に日本の平和と安全に直結している」などと、付随的任務からの格上げを求める声が上がっています。

 海外派兵の拡大が日米同盟の強化を理由に主張されているのも、議論の大きな特徴です。

 政府が懇談会に配布した資料「我が国の国際平和協力と日米安保体制について」は、「我が国を含む国際社会の平和と安全を維持するためには、米国の地域的な役割とグローバルな役割が必要不可欠」と指摘。イラク戦争に象徴される国連憲章違反の先制攻撃戦略を進める米国を全面的に賛美しています。

 同時に「日米安保体制の信頼性をより一層向上させるための日米間の役割分担」を強調しています。

 懇談会では「グローバルな協力を進めることが、翻って、日米同盟関係の強化にもつながっていること等から、国際平和協力と日米同盟関係は、相乗効果がある」との声が上がっています。

“憲法の見直しが必要”

 憲法改定問題も議論の対象になっています。

 「自衛隊の憲法上の位置付けをそのままにして、今後の対応について議論できるのか。憲法上の枠組みの見直しが必要ではないか」との強い意見が出ています。

 憲法の平和原則に基づき外国への武器輸出を禁止している「武器輸出三原則」についても「全面禁止は不合理」「原則として自由とし、特定のケースについてのみ禁止とすべきだ」など、見直しを求める声が相次いでいます。


(注)「安全保障と防衛力に関する懇談会」メンバー 荒木浩(東京電力顧問)、五百旗頭真(神戸大教授)、佐藤謙(元防衛事務次官)、田中明彦(東大教授)、張富士夫(トヨタ自動車社長)、西元徹也(元自衛隊統合幕僚会議議長)、樋渡由美(上智大教授)、古川貞二郎(前内閣官房副長官)、柳井俊二(前駐米大使)、山崎正和(東亜大学長)の十氏。


「自衛隊の現状と課題」で挙げられた主な「今後の課題」

【防衛政策】

●日米防衛協力の在り方(新たな脅威や多様な事態への対応)

【防衛構想】

●「存在する自衛隊からより機能する自衛隊」への転換

●既存の防衛力の活用ではなく、防衛力の設計段階から国際活動を考慮

【弾道ミサイル、テロ、ゲリラ等への対応】

●BMD(弾道ミサイル防衛)では、政策、運用、技術面での日米協力、将来構想、法整備、武器輸出三原則との関係の整理

【国際的な活動】

●国際的な活動を自衛隊の本来任務と位置付けるか

●迅速かつ継続的な派遣を行い得る態勢の整備

●様々な種類の活動に対応するためには、武力行使やそれとの一体化等憲法上の問題の整理、その上で当該活動に必要な武器使用権限の整備が不可欠

【防衛装備】

●武器輸出三原則(国際的な共同開発・生産のすう勢への対応)

【防衛庁の位置付け】

●防衛二法の検証

●防衛庁の省への移行


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp