日本共産党

2004年7月19日(月)「しんぶん赤旗」

自衛隊 海外派兵型へ改造

憲法の見直しまで言及

防衛庁が新大綱策定へ文書


 新たな「防衛大綱」の年内策定に向けて検討作業を進めている政府は十八日までに、防衛庁作成の文書「自衛隊の現状と課題」を明らかにしました。同文書は「既存の防衛力の活用ではなく、防衛力の設計段階から国際活動を考慮」するとし、自衛隊の海外派兵型軍隊への改造を明記。海外での武力行使が禁止されていることなど「憲法上の問題の整理が不可欠」とし、憲法見直しにまで言及しています。

 文書は、防衛庁が小泉純一郎首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」の第六回会合(十三日)に提出していたもの。

 イラク多国籍軍に象徴される「国際社会での活動形態の多様化」や「日米防衛協力の深化・グローバルな協力場面の拡大」を挙げ、自衛隊は「今後より主体的・積極的な国際活動への取組が必要」と、海外派兵の推進を明記。これを従来の付随的任務から「自衛隊の本来任務と位置付ける」ことを「今後の課題」にしています。

 文書は同時に、「より機能する自衛隊」を掲げ、国連で安保理決議採択後三十日以内での軍隊派遣が提案されていることにも触れ、「迅速かつ継続的な(自衛隊の海外)派遣を行い得る態勢の整備」を打ち出しています。

 さらに「(国際社会での)様々な種類の活動に対応するためには、武力行使やそれとの一体化等憲法上の問題の整理、その上で当該活動に必要な武器使用権限の整備が不可欠」と指摘。政府がこれまで憲法上許されないとしてきた海外での武力行使や他国軍隊の武力行使との一体化に道を開こうとしています。

 憲法の平和原則に基づき外国への武器輸出を禁止している「武器輸出三原則」についても、「装備品の国際的な共同開発・生産が世界のすう勢」とし、見直しの必要性を強調。「『より機能する防衛庁・自衛隊』への転換に見合う法体系と組織の必要性」をうたい、「防衛二法(防衛庁設置法と自衛隊法)の検証」「防衛庁の省への移行」も課題にしています。

カット

防衛大綱 正式には「防衛計画の大綱」。日本の「防衛力」のあり方やその具体的な整備目標などに関する基本指針を定めるもの。政府は昨年十二月、現防衛大綱(一九九五年策定)に代わる新たな防衛大綱を今年中に策定することを閣議決定しました。



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