日本共産党

2004年7月6日(火)「しんぶん赤旗」

民主党

教育基本法改悪を促進

“お国のために命を”発言も


 教育基本法改悪の動きが加速し、与党の自民・公明両党だけでなく、民主党が突出した動きを見せています。

 教育基本法の全面「改正」に踏みきることで合意した自民、公明両党の「中間報告」(六月十六日公表)。民主党教育基本問題調査会(会長・鳩山由紀夫元同党代表)はただちに「民主党コメント」を発表し、「中間報告」を「部分的かつ限定的な修正」にとどまっていると批判しました。

 「コメント」は、与党の「改正」論議を改憲論議との連動が全く視野にないとして、「新たに創られるべき憲法の基本理念」を反映した、全面的な新基本法をつくるべきだと主張しています。

自、民が顧問

 民主党の主張する「新教育基本法」の中身に通じる試案があります。自公の「中間報告」に先立つ六月十一日に出た「教育基本法改正促進委員会」の「新教育基本法大綱」です。この「促進委員会」は自民、民主両党議員からなり、鳩山由紀夫氏が顧問となっています。民主党から四十五議員が参加。同党の西岡武夫元文相が、自民党の森喜朗前首相とともに最高顧問を務めます。

 「新教育基本法大綱」の中身は重大です。

 「大綱」は、現行法の重要な理念である「個人の価値」を削ったうえで、「教育の目的」を「教育は人間の内在価値を開発して、共同体の関わりの中で人格を陶冶(とうや)し、社会・国家、ひいては世界に貢献する日本人を育成することが目的である」としています。これでは人間の「内在価値開発」や「人格の陶冶」は、「社会・国家に貢献する日本人の育成」という最終的な目的に従属することになります。

 現在の教育基本法は、なによりもまず「人格の完成」、つまり一人ひとりが人間として大事にされ、個性・能力を全面的に発展させることを「教育の目的」とします。戦前・戦中、「国家有用の人物」をつくることを目的にした国家主義的教育が行われたことを反省し、国家の前に、まず個人があることを明確にしたのです。「大綱」は、この関係を再び逆転させています。

 同促進委員会の設立総会では、民主党の西村真悟衆院議員が「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す」とのべるなど、戦前の教育をあけすけに肯定する発言まで飛び出しました。

国が評価下す

 「大綱」はさらに、教育の目的を達成するため、国が小・中・高校の「教育内容を定め、評価の責務を負う」としています。自民党が教育基本法改悪の中心課題としている「愛国心」についても、「伝統と文化の尊重、愛国心の涵養(かんよう)、道徳性の育成」が教育目的として重要だと明記します。これでは、国が道徳の中身を決め、国民の愛国心や道徳性について評価の基準を下すことになります。

 自民、公明の与党間協議が、「愛国心」をどう表現して「改正」案に盛り込むかで調整している点と比べても、突出しています。


改憲団体と重なる人脈

 自民、民主両党議員による促進委員会は、「『日本の教育改革』有識者懇談会」(西沢潤一会長)と密接な関係を持っています。「大綱」も両者の連名でまとめられ、合同総会で承認されました。有識者懇談会の中心メンバーは、侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」と重なっており、男女共同参画社会の推進について「男女の特性を否定する」と攻撃しています。

 有識者懇談会の設立を後押ししたのは、皇室の存在が日本の「美しい伝統」だと主張する改憲右翼団体「日本会議」(三好達会長)です。


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