2004年7月4日(日)「しんぶん赤旗」
原子力発電で出た使用済み核燃料を再処理した場合と、再処理せずにそのまま地中に埋めて直接処分した場合のコストを、通産省(現経済産業省)が一九九四年に試算していたことが三日、明らかになりました。
試算結果は再処理が直接処分の約四倍費用がかかるとしています。
経産省資源エネルギー庁はこれまで、直接処分にいくらかかるかについては試算していないと説明、今年三月の参院予算委員会でも、同庁の日下一正長官(当時)が「再処理しない場合の試算はない」と答弁していました。
試算は、九四年二月の総合エネルギー調査会原子力部会のワーキンググループで提示されましたが、非公開扱いでした。それによると、再処理は、平均金利5%の場合、再処理費用や高レベル放射性廃棄物処理費などで1キロワット時当たり一・三三円で、直接処分の○・三四円の約四倍。燃料の加工や濃縮など核燃料サイクル全体でも、再処理が同二・二九円に対し、直接処分は一・二三円でした。
同庁原子力政策課は「古い資料が保管されている倉庫を探したところ、試算が見つかった。国会答弁した当時は、資料の存在を認識していなかった。申し訳ない」としています。
日本共産党は、プルトニウムを原発の燃料として使用するやり方は原発の危険をさらに増大させるとして、核燃料サイクル政策の推進に反対してきました。当面、使用済み核燃料は再処理せずに、電力会社の責任で保管すべきだと考えています。
より根本的には、低エネルギー社会の実現、再生可能エネルギーの開発を進めながら、安全優先でエネルギー自給率の引き上げをめざし、原発優先のエネルギー政策の転換をはかることを提案しています。
再処理と直接処分 原発を運転すれば、“燃やした”後の使用済み核燃料がたまります。この使用済み核燃料には、強い放射能を何万年にもわたって保持する物質が含まれています。これを安全に処理・処分する方法が確立されていないことから、原発は「トイレ無きマンション」といわれてきました。 日本政府は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す「再処理」をおこない、取り出したプルトニウムを再度原発の燃料として使用する「核燃料サイクル」政策を推進してきました。この方式では、再処理の過程で出てくる高レベル放射性廃棄物の処分が必要になり、地中深く埋める計画が進められています。 他方、米国などは、再処理の利点がないとして、使用済み核燃料をそのまま地中に埋める直接処分方式を進めています。 |