日本共産党

2004年6月12日(土)「しんぶん赤旗」

「市民が主人公」の狛江市政 市民の総力で矢野市政の前進と発展を

東京・狛江での不破議長の訴え


 日本共産党の不破哲三議長が十日、東京・狛江(こまえ)市でおこなった街頭演説(大要)は次のとおりです。


8年前の大変な選挙を思い出すと――

 狛江のみなさん、こんばんは。日本共産党の不破哲三です。(拍手)

 ここへ参りますと、八年前のあの大変な選挙を思い出します。あの激戦のなかで矢野さんの新しい市政が生まれたのですが、それまでの狛江の市政というのは、本当にひどい市政でした。

 八年もたちますと、いろいろなことを忘れてしまって、バクチのことだけ覚えているという方もずいぶんいるんですが、やはりバクチで失敗して逃げ出してしまうような市長さんのもとでは、市政そのものが大変だったのですね。

 市民そっちのけ。福祉とか教育とか大事な問題で、これは狛江のいいところだとまわりに自慢できるようなものが何もない。しかも、市政は、それこそ利権と一部の人たちが勝手なことをする巣くつみたいなところで、それに対して議会で、たとえば矢野さんたちが“真相を明らかにしようじゃないか”と言っても、与党がよってたかってつぶしてしまう。まったく密室と利権の市政でした。

 ですから、借金をつくったのは自分の個人のバクチの失敗だけじゃないんですね。前の市長の時代は、狛江市の借金がどんどんどんどん膨れ上がる時代で、なかでも最後の四年間は、計算してみますと毎年三十三億円ずつ借金がふえる。矢野さんが引き継いだ時には、三百十六億円もの、大破産といっていいような大借金を背負ったまま新しい市政をやらざるをえなくなる。そこまで市の財政をめちゃくちゃにしたのが前の市政だったと思います。(拍手、「そうだ」の声)

 あの時、応援に来た時に聞いた言葉で、今でも非常に印象に残っている言葉があります。ある与党の幹部がこう言ったというんですね。「市民の声をいちいち聞いていたら、市の仕事なんか進まないよ」。つまり、“市民そっちのけ”が当たり前だと開き直っていた。

 それに対して、市民のみなさんが審判を下したのが、八年前のあの選挙だったと思います。

「市民のためにがんばる市役所」が最初からの旗印

写真

訴える不破哲三議長=10日、東京・狛江駅前

 それで、矢野さんが決断されて立候補され、当時、六つの柱の公約を発表されたのを新聞で拝見したんですが、その公約で今でも強く覚えているのは、「市民のためにがんばれる市役所をめざす」、それから「市民に開かれた市民参加の市政をつくる」です。これは今でも矢野市政の旗印になっているとうかがいました。

 矢野さんが共産党の市議会議員でしたから、あの時も「共産党に市政を任せていいか」という議論がさんざんあったのですが、その時に矢野さんがずばり言われたんですね。「全国で“オール与党”で悪いことをやっている政治がいっぱいある。その中でいい政治をやろうと思ったら、無党派の方々と共産党が力を合わせ、腕を組んでやる以外にない」(拍手)

 そういうことをみんなでおおいに議論して、そしてこれまでのでたらめな市政のレールから、矢野さんの当選で新しいレールに切り替えたのが八年前の選挙でした。そして、このレールはこのまま進んでいったら、ちゃんと市民の利益を守れる、狛江の将来が開ける、そういうしっかりしたレールなのかどうか、それとも前のあの暗やみと利権と大破たんのレールに戻した方がいいのか、それを選ぶのが今度の市長選挙だということを、私はまず最初にみなさん方にお訴えしたいのであります。(拍手)

福祉も教育も見違えるように変わった

 八年前に市民のみなさんが矢野さんと一緒につくった市政のレール、これがいいものだったかどうか、私は実績を見ればよく分かると思います。

 私がここへ来て、いちいちみなさんにご紹介するまでもないのですが、やはり矢野さんの応援ですから、言わせてもらいますと、あの時代になおざりにされてきて、これが狛江のいいところだと言えることが一つもなかった狛江市政に、今では三多摩でトップクラスという実績が、福祉でも教育でもぞろぞろ出てきている。八年間で市政ってこんなに変わるものかと思えるくらいの様がわりの状態があります。

 なにしろ、前の市長の時代(95年度)は、市政といえば土木費中心で、予算の33%が土木費、みなさん方のくらしを応援する民生費は25%。そういう逆立ち政治でした。矢野さんになって土木費を13%に減らして、その発注は市内の業者中心にすると割り切った。一方、民生費は予算の34%。これが主役ですよという政治に変わりました(03年度)。

 そのために、それで三多摩で自慢できる実績がどんどん増えたんですね。

 たとえば、福祉の問題でいいますと、いま全国で大きな問題になっている子どもさんの医療の無料化。前の市長の時代には、学校に入る前の13%の子どもさんにしか無料化は及ばなかった。それが今では83%に及ぶようになった。三多摩でもトップクラスですよ。(拍手)

 それから、八年前に応援にきた時に、介護サービスの悪いことに驚いてお話ししたことがあるのですが、このお年寄り介護の問題でも、在宅介護の施設が二カ所しかなかったものが十一カ所に増えた。五・五倍ですよ。これも三多摩で高いクラスでしょう。(拍手)

 それから、これからやることですが、十月からは、子どもさんの夜の救急医療の体制がいよいよ始まります。どんどん広がるわけですね。(拍手)

 学校の教育の面でも、たとえばこんなことをご存じですか。この狛江には、七つの小学校と四つの中学校がありますが、その学校のすべてに、図書館の専門の資格をもった職員が全部配置されるようになりました。東京全体でいいますと、だいたい五校に一校しか配置されていないそうですが、それが狛江では全校に配置されるようになりました。そうしたら、子どもさんが図書室から本を借り出す数が、平均して、この三年間に、年十八冊からなんと三十冊に増えた。子どもさん方が本に親しむようになったわけで、それぐらい教育のおおもとが変わってきました。(拍手)

 学童保育所も、数の多いことは多摩で二番目だそうですね。

 懸案だった中学校給食も、すでにミルク給食が始まって、いよいよこれから本格的な軌道にのせる。矢野さんも給食施設をつくる場所づくりにずいぶん苦労されているようですが、どんどん手が打たれていると聞きます。

 よく狛江では、お母さん方やお年寄りからも、「ずっと狛江に住んでいたい」、そういう声が聞かれるそうですが、こういう実績をみると私はなるほどなあと思うのです。

市長も職員も一体で

 しかも、狛江市で八年間やってこられた実績をずっと見ると、何といいますか、市政の合言葉といいますか、流れを支えるしっかりした柱がずっと貫かれていることをよく感じるんです。

 一つは、矢野さんの最初の公約にあった「市民のためにがんばる市役所」、これがまさに現実になったのではないでしょうか。

 狛江で私が素晴らしいと思うのは、一般的にいって、市民のための政治といえばこういうことをやると決まっていることが割合多いんですね。矢野市政はそれもどんどんやっているが、この狛江の条件のもとで、狛江のみなさんが願っていることを、本当にきめ細やかにとらえ、狛江らしく具体化している仕事がたくさんあることです。

 高齢者のお宅への宅配サービス、これもその一つだと思うんですね。それから市内に福祉バスを循環させる。なかなか、路線を作ったり、あまりお金をかけないで実現するために苦労をされているそうですが、それが実現されました。

 それから昼休みの窓口。市役所全体で、昼休みでも窓口を開きました。

 こういうことは、市長さんが考えて、「さぁ、やろう」と言っただけではできないことなんです。本当に市役所全体が、市長さんが「やろう」と言ったら、あるいは言われなくても、知恵を出して、みんなで研究し、これはこうやったらできるじゃないかと議論して、がんばらないとできないことが、次々実現されている。

 私は「市民のためにがんばる市役所」というのが、言葉だけの合言葉ではなくて、狛江の市政では現実になっていると本当に強く感じます。(拍手)

全国でも最先端をゆく「開かれた市政」

 それから、全国で有名なのは“ガラスばりの市政”です。まず、矢野さんが市長さんになって、条例をつくり、市長さんとして毎日何をやっているか、「公務日誌」の公開をやった。それからどこの市長も一番、隠したがる食糧費や交際費、矢野さんは宴会をやらないけれども、会合などの費用ですね、その明細を全部公開した。

 これは、マスコミも注目して大きくとりあげ、狛江というのは、“開かれた市政”の最先端の街だと全国に知らせました。(拍手)

 それからどこの官庁でも、資料は見せてくれても、写真に撮ることは嫌がるんですが、それもきちんと実現しました。

 そういう点で本当に“開かれた市政”が着々と実現して、この点でも全国で指折り数えられる街になっています。

 矢野さんが最初から言っていた「市民の参加」もゆたかに実現されました。市長さんが市民の声を聞く仕組みも「市長と語る会」や「市長への手紙」という制度とか、二重三重に仕組みがつくられました。それから市民のみなさんが市政に声をあげる、「市民参加」の基本条例や「まちづくり条例」も力を発揮していますし、いろいろな審議会に公募で市民が参加するなど、いろんなことがやられています。

 私は、“開かれた市政”、“市民参加の市政”という点でも、まさに全国でずば抜けた市政になっていることを本当にうれしく思います。(拍手)

借金財政の解決にも大きく道を開いた

 三番目に私が力強く感じるのは、前の市長さんにあそこまでめちゃくちゃにされた借金財政の立て直し、これにこの八年間、本当に力をいれられたことですよ。

 前の市長さんが、大事なことをやらないで放ってあった。手抜きされていたことを後の市長さんがやるというのは比較的やりやすいんです。しかし、みなさん、三百億円を超える借金を、無駄づかいの積み重ねでつくっちゃった。しかも、この仕組みをそのまま残しておいたら、黙っていても借金がどんどん増える仕組みです。それまで引き継ぎながら、市政を引き受けた矢野さんが市民のみなさんの要望にこたえる。新しい仕事をどんどんやりながら、その一方、その借金財政の流れを、借金を返す財政の流れに切り替えた。これは相当の力がなければできない大仕事です。私はほとほと感心しております。(拍手)

 大変な額で、放っておいたらどこまでも増え続ける借金を止めたばかりか、三百十六億円あった借金が、現在は三百三億円(今年度見込み)に十三億円減っている。

 これだけでもすごいことですが、詳しいことを聞いてみますと、この間に政府の方で制度の変更をやったのですね。本来は国の借金なんだが、狛江の勘定に帳簿上移ってくるものが四十億円くらいあったそうで、それを含めて減らしてしまったのだから、実質的にはその分をあわせて、借金を五十三億円減らしたくらいの仕事をしていると聞きました。

 この一番大変な難問でも、やっぱり全国の自治体の手本になるようなすばらしい仕事をしてきている。

 私は、こういうことを見ると、みなさん方が選んだ新しい市長さんと、みなさん方が市長さんと一緒につくってきた市政のレールは実にしっかりしたものだ、それがはっきり言えるのではないかということを申し上げたいのです。(拍手)

腐った市政が“なつかしい”という人がいる

 もちろん、ゼロからと言いますか、マイナスからの出発ですから、現状で足りないところを探せば、いくらもあるのは当たり前です。問題は、これから、このレールを進んで行ったならば、いま足りないところもどんどん解決ができる見通しがあるのか。それともどこかにぶつかって破産してしまうのか、その見きわめが大事です。私は、みなさん方が八年前に築き上げ、八年間育て上げてきたこのレールは、それだけの力を持っているということを、確信をもって言えると思います。

 このレールが“気に入らない”という方がいるんですね。前のレールの方がなつかしい。そういう方は四年ごとに血が騒ぐんですよ(笑い)。市長選挙になると、何とかして、いまの人気のあるレールをひっくり返して、市民に多少評判が悪くても、自分たちにとって具合がいいレールに戻したい。そのためには、選挙に勝てばいいんだから、どんなでたらめでも平気で言うというのが、密室政治に慣れた方々の選挙のやり方なんです。

自分の罪を他人に――政治でも社会でも許されないこと

 私、今度、こちらに来て、いろいろうかがいました。相手の候補を応援しているのは、自民党、公明党が主力だと聞きました。

 これは、前のあの大破たんの市長さんの一番の与党の方々ではありませんか。そしてその方々が今の市政を攻撃するのに何と言っているか。「財政が大変だ。これは矢野市長がつくりだした借金だ」。しかしまぁ、よくも言えたものであります。

 三百十六億円の借金をつくったのは前の市長さん。その市長を応援して借金予算が出てくるたびに、「借金けっこう、借金けっこう」と、承認してきたのが自民党と公明党のみなさんじゃありませんか。(拍手、「そうだ」の声)

 そのみなさんが、もし本当に市の借金が心配だったら、声をあげる時を間違えているんじゃないですか。前の市長さんの時に声を大にしていわなきゃいけなかったんですよ。(拍手、「そうだ」の声)

 その時に「借金けっこう、借金けっこう」と言っておいて、自分たちのつくった借金の解決に苦労されている矢野さんに向かって、「矢野さんがつくった借金だ」とはよくも言えたものです。

 私は、そういうところにも、この人たちが、市民の代表として市政を担える勢力であるかどうか、このことが、非常にはっきりと現れたと思います。

 それから、「矢野さんは給食やるのが遅すぎる」、こういうことも言っていると聞きました。しかしみなさん、あの前の市長の時代に、市民のみなさんが一万八千人もの署名を集めて、市長さんに中学校給食を始めてくれと要求した。その署名を目の前に置きながら、「やろう」という方針さえ出さなかったのが、自民党と公明党の前の市政じゃありませんか。(拍手)

 難しいところを苦労して、矢野さんがミルク給食から始め、いよいよ本格給食への道をようやくこじ開けた。その時になって「遅い、遅い」と言うのは、これもあまりにも党利党略、手練手管の攻撃ではないでしょうか。(拍手、「そうだ」の声)

 だいたい、バクチ市長を応援して、狛江の市政をめちゃくちゃにした政党、その政党が本当に自分の責任を感じているのなら、「あの時に自分たちがこういう政治を応援して悪かった」と、市民のみなさんの前ではっきり認めて反省するのが、政党の筋道というものではないでしょうか。(拍手、「そうだ」の声)

 それをやらないで「人のうわさも七十五日」と言うから、八年もたてばみんなが忘れているだろうと、自分たちの罪を平気で矢野さんになすりつける。そして、こともあろうにそういう攻撃で、今の市政のレールをぶち壊して、昔のように一部の人がうまい汁をすえる悪いレールにとりかえる。そんなことをたくらむという者は、政治の世界ではもちろん、社会の道義の世界でも許されないということを、私は強調したいのであります。(拍手)

「東京には『市民が主人公』の街がある」

 この人たちはまた、「日本共産党がついてるからけしからん」と今でも言います。しかし、みなさん、私、はじめにも言いました。この問題は、矢野さんがみなさんにおされて、市長の候補になったその時から、八年前の選挙でもさんざん、議論して決めた道ではありませんか。私は矢野さんが、その中で「市民が主人公」の市政への道を、しっかり進んできたことに、本当に心から敬意を表しております。(拍手)

 そして、その道がまともだったことは、八年間の実績で証明済みであります。

 あえて日本共産党について言いますならば、「国民が主人公」、「市民が主人公」というのは、あの暗い戦前の時代から、日本共産党が命がけで守りぬいてきた信条であります。そしてこの信条に立った政治が多くのみなさんとの協力のもとで、この狛江で実現し、発展しつつある。何よりもの喜びであります。

 みなさん、市民の立場で、「市民が主人公」の市政をおおいにここで発展させようではありませんか。そのカギは、矢野さんの三期目を、それこそ狛江市民あげての運動で勝ちとることではないでしょうか。

 私どもは、そのために私たちとしてできるどんなこともやるつもりです。どうか、矢野さんの勝利のために、みなさんの大きなお力をいただきたい。そして、「ああ、東京には市民が主人公の街がある」と全国のみなさんが見守っているなかで、この市政をさらにさらに発展させていただく。このことをお願いして、私からの訴えにかえる次第です。どうかよろしくお願いいたします。(歓声、大きな拍手)


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