日本共産党

2004年6月8日(火)「しんぶん赤旗」

暫定政府の権限明確に

イラク決議に盛り込め

仏が修正求める

国連安保理非公式協議


 六日に開かれた国連安保理非公式協議では、イラク暫定政府のアラウィ首相とパウエル米国務長官が安保理に送った書簡が議論されました。両書簡は、米主導の多国籍軍部隊の作戦でイラク側の同意を得ることをうたったもので、米英提案のイラク問題に関する安保理新決議の付属文書になるとされます。

 これに対しフランスは、両書簡によっても、六月末に主権移譲されるイラク暫定政府の権限になおあいまいさが残ると懸念を表明。イラク側の権限をさらに明確にする修正をし、米軍の主要作戦には同政府の同意を必要とすることを盛り込むよう求めました。

 同国の主張は、イラク側が米軍主導の軍事作戦に自国部隊が従事するか否かを決定できるようにし、「微妙な攻撃作戦にはイラク側の同意を必要とする」ように明記すべきだというものです。

 ロイター通信が入手した書簡によると、アラウィ首相は、米軍司令部が参加する「国家安全保障に関する閣僚級委員会」を新設、それを主宰するとし、この委員会で「微妙な攻撃作戦に関する政策を含め、あらゆる範囲の治安と政策の基本問題で合意を達成する」ことが必要だと述べています。

 パウエル長官の書簡は、米軍司令部がイラク側との「パートナーシップ」の下で「微妙な攻撃作戦に関する政策を含め、あらゆる範囲の治安と政策の基本問題で合意を達成するために活動する」としています。

 しかし両書簡では、米軍がイラク中部ファルージャに加えた猛攻のような大規模な軍事作戦にイラク指導部が反対した場合にどうなるかは明記されていません。

 またパウエル長官の書簡は、米軍にイラク人投獄と家宅捜索継続の権利があると主張。「治安上の理由で緊急に必要な場合」は容疑者を強制収容し、「イラクの治安を脅かしている兵器からの安全を確保するため捜索を継続する」と明言しています。パリー英国連大使は、イラク側の同意がなければ米軍司令部は主要な作戦を実行できず、英政府の理解では「微妙な攻撃作戦に関する政策は閣僚級委員会の同意を必要とする」と語りました。

 他方、ライス米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が明言しているように、米国は「米軍の指揮権は米大統領にある」とし、指揮権、最終決定権を放棄する考えはありません。 居波保夫記者


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