日本共産党

2004年6月1日(火)「しんぶん赤旗」

占領下の暫定政府づくり

イラク新大統領めぐり対立

統治評議会 指名は延期


 【カイロ=小泉大介】六月末のイラク「主権移譲」にむけ、主権の受け皿となる暫定政府の閣僚名簿づくりが、国連のブラヒミ事務総長特別顧問が期限としてきた三十一日になっても完了せず、イラク統治評議会は三十一日、大統領を指名する会合を、米側の要求で六月一日まで延期したことを明らかにしました。米占領当局と統治評議会の意見が割れ混乱しているためで、ブラヒミ氏が期限としてきた五月中の暫定政府づくりは矛盾を抱えたままです。

 統治評議会は三十日、大統領指名をめぐり約五時間にわたり協議をおこない、ほとんどのメンバーが同評議会の現議長、ヤワル氏(イスラム教スンニ派)を推したのにたいし、同席した米主導の占領機関、連合国暫定当局(CPA)のブレマー文民行政官は、外国軍駐留継続に理解を示す元外相のパチャチ氏の指名に固執しました。現地からの報道によると、ブレマー氏は統治評議会がヤワル氏を指名した場合、これを承認しないと圧力をかけたとされます。

 ヤワル氏は先に、米英が提出した新たな国連安保理決議案にたいし、多国籍軍の撤退を要求する暫定政府の権限や、復興援助資金の完全な管理権が明記されていないことなどを批判。その後も「治安悪化の責任は百パーセント、米国にある」などとのべていました。

 ただ、統治評議会は先に、暫定政府で最も強大な権限を持つ首相には、イスラム教シーア派政治組織、イラク国民合意(INA)幹部で米中央情報局(CIA)と太いパイプを持つアラウィ氏を指名し、米国もこれを歓迎しました。

 反占領軍感情が激しさを増すイラク国民の間では、CIA人脈のアラウィ氏の指名にたいし「米国に身を売った決定だ」などの批判が広がっており、今回の統治評議会の「抵抗」は、この国民感情に配慮してのものとの指摘もあります。

 首相をはじめ、暫定政府の主要閣僚についてはすでに合意が成立し、外相にはクルド人のサリフ氏、国防相には現暫定内閣外相のゼバリ氏らが決まったと伝えられます。


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