日本共産党

2004年5月30日(日)「しんぶん赤旗」

都市型戦闘訓練施設

沖縄米軍が建設強行

金武町あげて反対

民間地からわずか300メートル


写真

都市型戦闘訓練施設の建設着工の様子を住民とともに監視する赤嶺政賢衆院議員=27日、沖縄・金武町

 米軍が沖縄本島北部の米海兵隊キャンプ・ハンセン内での都市型戦闘訓練施設の建設着工を、二十五日に強行しました。沖縄駐留の米海兵隊がイラクに出撃するのと軌を一にして進む基地機能の強化にたいし、地元の金武(きん)町伊芸区をはじめ県民から強い怒りの声があがっています。田中一郎記者

 着工されたのは、二十五日午前七時三十分ごろ。

 伊芸区の池原政文区長が、建設現場に隣接する監視塔から双眼鏡で建設予定地の射撃場レンジ4をのぞくと、目に飛び込んできたのは、監視塔を双眼鏡で“監視”する米兵の姿。しばらくすると、建設用の車両が集結を始めました。着工が始まった瞬間でした。

 池原区長は三月に設けた監視塔で毎朝、現場の監視を続けてきました。建設地点は、伊芸区の民間地域からわずか三百メートルしかありません。「これまで、日本政府、米軍に建設の中止を求めてきた。私たちの思いは通じないのか」と、怒りと悔しさをにじませます。

 五月二十日には、町民大会が開かれ、約六百人が集まりました。儀武剛町長が実行委員会会長となり、町議会、町教育委員会、町内の各行政区、老人クラブ、婦人会、青年団、子ども育成会、商工会、漁協、農協、PTAが実行委員会に加わりました。まさに町をあげての反対です。

 「金武町は、米軍基地に町土の約60%を接収され半世紀にわたって基地被害を被ってきた」

 町民大会が採択した決議の一節です。

 金武町では、七二年の祖国復帰後だけでも、砲弾破片が民家の屋根や児童公園などに落下(七八年)、民家屋上の水タンクに小銃弾が貫通(八五年)、銃弾が導水管を破損し二百二十八世帯の水圧が低下(八七年)、宅地に銃弾が撃ちこまれる(八八年)など米軍演習による被弾事件が頻発しています。

イラク出撃と軌を一に

無法な海外作戦能力を強化

 イラクに出撃した沖縄駐留の米海兵隊部隊は、沖縄にいる間、「都市環境での能力を高める接近戦訓練」(米海兵隊ホームページ)を重ねました。その後、イラク中部ファルージャで無差別殺りくの掃討作戦を展開、六百人をこえるイラク市民が殺されました。米海兵隊は、沖縄での訓練の「成果」と誇りました。都市型戦闘訓練施設の建設は、米軍によるイラク型の無法な海外作戦能力を強化する危険があるのです。

 沖縄統一連の新垣繁信代表幹事は、「米軍が世界の人々を苦しめるための施設をつくることになり、世界的にあがっている米軍によるイラク占領への批判に挑戦するもの。日米安保条約が、いかに世界に向けた侵略のためであるかを示している」と怒ります。

 日本政府はこの米軍の施設建設を容認。事故の危険についても「(米軍は)地元の懸念にも一定の配慮をしている」(川口順子外相)と米軍を擁護しています。

 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員(県委員長)は二十六日、衆院外務委員会で、建設中止を米側に求めるよう政府に要求。翌日には伊芸区を訪れ、「みなさんは基地被害から、みずからの命と暮らしを守るために監視塔もたて自己防衛している。本来、住民の命を守るのは政府の責任。日米両政府が恐れるのは住民の団結です。がんばりましょう」と激励しました。


 都市型戦闘訓練施設 外務省などの説明によると、▽扉のカギを破壊し、建物内に強行突入する訓練をするための「突破訓練施設」▽建物内の敵に対処するため小型武器による射撃訓練をするための「射撃用建物」▽ロープによる懸垂下降訓練や小型武器による射撃訓練をするための「訓練塔」などで構成。射撃では実弾を使用します。


建設強行許さない

儀武剛・金武町長の話

 二十六日に監視塔から現場をみたが、いまの気持ちは言葉になりません。私たちは、二十日に町民大会を開き、建設の中止を求めました。六月一日には上京して、政府、米側に中止を要請することも決めていました。その矢先での強行です。住民感情、住民の意思を無視するもので、許せません。

 現地にきてみればわかりますが、これだけ民間地に隣接しているところで、今度の施設は実弾演習をすることになります。外務省は「工事が円滑に進むことを期待している」といっているようですが、この現場を見ての発言なのか。すぐに建設はやめていただきたい。


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