日本共産党

2004年5月29日(土)「しんぶん赤旗」

兵役拒否「私は正しいことをした」

大義なきイラク戦争 兵士が公然と異論

軍法会議で虐待兵と同罪の禁固1年


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米軍基地に「投降」する前、記者会見するメヒア氏=3月15日、ボストン市郊外

 イラクに派遣され、一時帰国した後、良心的兵役拒否を申請しイラク戦争を批判したフロリダ州の州兵、カミーヨ・メヒア氏(28)の軍法会議がジョージア州フォート・スチュアート基地で十九日から三日間にわたり開かれました。軍法会議は脱走などの罪で、同氏に一年の禁固刑と懲戒除隊処分を言い渡しましたが、大義のないイラク戦争そのものに兵士が公然と異論を唱えたことが米国では波紋を広げています。

 二十二日の判決後、メヒア氏は「私は正しいことを行った」と、兵役を拒否したことは後悔していないと語りました。軍法会議が開かれた十九日は、イラクのアブグレイブ収容所での収容者虐待の罪で技術兵が同じく禁固一年の刑の言い渡しを受けた日でもあります。

 メヒア氏支援者の一人でアフガニスタン侵攻やイラク戦争に一貫して反対してきたクラーク元司法長官は「米国は、(虐待で)国際法を犯した米兵を裁いている時に、虐待を拒否した兵士を裁いている。なんという皮肉だ」と述べ、軍法会議を批判しました。

 メヒア氏は、昨年四月にイラクに派遣され、同十月に二週間の休暇で帰国。しかし、大義のないイラク侵攻と占領、現地での米兵の非道ぶりに反発し、休暇期限が終わったあとも所属部隊に帰らず、今年三月に「良心的兵役拒否」を申請しフォート・スチュアート基地に「投降」しました。イラク戦争をめぐっては、六百人規模の脱走兵がいると伝えられますが、軍法会議にかけられたのはメヒア氏が初めてです。

 軍法会議の場でメヒア氏は、駐留米軍が機関銃でイラク市民の頭を吹き飛ばす現場などを目撃し、「(米軍は)人間の生命の価値を判断する知覚が無くなっている」と思い、戦争に反対するようになったことを告白しました。また、昨年五月にアルアサド空軍基地の収容所での任務に付いた時、収容者に対する虐待があったことも明らかにしています。

 ニカラグア、コスタリカ両国の国籍を持つメヒア氏は、十代で母親とともに米国に渡り米軍に入隊、その後州部隊所属となりました。父親のカルロス・メヒア・ゴドイ氏はニカラグアの著名な歌手で左翼活動家、サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)賛歌の作曲家としても知られます。

 メヒア氏を支援する平和・反戦組織は今後、同氏の釈放をもとめて活動を続ける予定。メヒア氏のケースは、ブッシュ政権の不当な戦争を告発する運動へ発展する可能性があります。

 (ワシントン=遠藤誠二 写真も)


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