日本共産党

2004年5月28日(金)「しんぶん赤旗」

三菱ふ前会長ら起訴

横浜・タイヤ脱落母子3人死傷事故

リコールなど対策とらず


写真
横浜市瀬谷区のタイヤ脱落事故現場=2002年1月

 二○○二年一月、横浜市で母子三人が死傷した三菱自動車(昨年一月、三菱ふそうトラック・バスを分社)製トレーラーのタイヤ脱落事故で、横浜区検は二十七日、三菱ふそう前会長宇佐美隆(63)、三菱元常務花輪亮男(63)両容疑者ら三人を道路運送車両法違反(虚偽報告)の罪で起訴。横浜地検は三菱自元市場品質部長村川洋(58)と元同部グループ長三木広俊(56)の両容疑者を業務上過失致死傷の罪で起訴しました。

 道路運送車両法違反は最高刑が罰金二十万円で、検察側が略式手続きでなく、正式な公判請求をするのは異例。今後、神奈川、山口県警などの捜査当局は、山口県で起きたクラッチ系部品の欠陥による死亡事故について業務上過失致死容疑で捜査を進め、宇佐美前会長ら同社上層部の関与などについて解明する方針です。

 起訴状によると、宇佐美前会長ら五人は横浜市瀬谷区で主婦岡本紫穂さん=当時(33)=ら母子三人が死傷した事故後の○二年二月一日、国土交通省に対し、技術的な根拠がないのに摩耗が○・八ミリ以上のハブを交換すればタイヤ脱落は防げるなどとするうその説明をしました。

 また、一九九二年六月以降、九九年六月の広島県での大型バスの事故を含め、タイヤ脱落事故が多発。村川元部長らはハブの強度不足が疑われ、重大な人身事故が起きることを予見できたのに、リコール(回収・無償修理)などの安全対策を取らずに放置し、瀬谷区の母子死傷事故を引き起こしました。


利益のため放置 遺族ら談話

 事故で亡くなった岡本紫穂さんの母、増田陽子さんのコメント 逮捕された三菱の役員が正式な裁判にかけられるのは当然だと思います。二〇〇二年十月に山口県で三菱のトラックを運転していた方が、三菱の車の欠陥で死亡したとが報道されています。亡くなられた方の奥さんは、きっと私と同じような悔しい思いをしていらっしゃるのではないでしょうか。

 三菱は会社の利益のために欠陥を放置してきたのであって、次から次へと出てくる三菱の欠陥車の報道に接するたび、三菱の役員たちの人命軽視の態度に悔しさが増すばかりです。役員たちは、自分の妻や子が被害にあって死亡しても、会社の利益のために欠陥を放置するつもりなのかうかがいたいです。

 このような事故の再発を防止するために役員たちを重く処罰してほしいと思っています。

 PL(製造物責任)問題に詳しい中村雅人弁護士の話 「クレーム隠し」事件での反省は何だったのか。株主代表訴訟では法令順守を誓ったはずだ。裁判所や原告代理人弁護士を欺いたということか。リコールされたクラッチ系統部品の新たな欠陥隠しにも憤りを感じる。一方で、ユーザーには「整備ミス」「運転ミス」などの汚名をきせてきた。遺族へ頭を下げただけではすまない。アメリカなら懲罰的な賠償が科せられてしかるべきだろう。教訓にすべきは強制捜査権を持つ警察が交通事故の原因を、車の欠陥にあると疑って捜査の手を緩めなかったことだ。製品の欠陥が人命を奪った。公開の法廷審議で裁かれるべきだ。


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