2004年5月28日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】二十六日付のニューヨーク・タイムズ紙は、「タイムズとイラク」との見出しで、米英によるイラク侵攻前に同紙が大量破壊兵器の問題などで間違った報道をおこなっていたとして釈明する記事を掲載しました。
米国の新聞編集局がこうした記事を出すのは極めて異例です。しかも、ブッシュ政権がとくに大量破壊兵器について偽りの情報を根拠にイラク侵略戦争に踏み切ったことが明らかにされている中で、当時、事実上これに同調する記事を掲載したことの誤りを認めての反省の弁であるだけに、注目されます。
ニューヨーク・タイムズ紙は、イラク戦争前の問題の記事の多くが、チャラビ・イラク国民会議(INC)代表ら反政府亡命者の情報に基づいて書かれたものだったと告白。「正確ではなく、あってはならないものが幾つもあった」として、記事を書いた記者だけでなく、編集者にも責任があったとしています。しかも、その後の取材で間違いが分かったのに修正してこなかったとしています。
間違った報道としているのは、二〇〇一年十月二十六日付の、イラク国内にテロリスト訓練所と生物兵器製造所があったとする記事、同年十二月二十日付の、バグダッドのサダム・フセイン病院地下に大量破壊兵器の施設が存在するとの亡命者の話を伝えた記事、二〇〇二年九月八日付のフセイン政権は原爆製造を模索したことを伝える記事など五本です。