2004年5月23日(日)「しんぶん赤旗」
三菱自動車(昨年一月に商用車部門が三菱ふそうトラック・バスに分社)製大型車で明らかになったクラッチ系統部品の欠陥隠しで、横浜・母子死傷事故(二〇〇二年一月)で既に神奈川県警に逮捕されている一部の容疑者が、欠陥隠しを決めた一九九六年五月の対策会議に出席し、リコール(回収・無償修理)隠しに関与していたことが二十二日、分かりました。
捜査当局はこの対策会議の資料を入手。会議の報告を受けた当時、三菱自動車副社長だった、三菱ふそう前会長の宇佐美隆容疑者(63)らの関与も含め二○○二年十月、クラッチ部品の欠陥が原因で、トラックが暴走し運転手が死亡した事故(山口県周南市)にかんする業務上過失致死容疑での立件に向け解明を進めています。
関係者によると、クラッチ系統部品の不具合は九二年以降、九六年五月までに約三十件起きていました。対策会議では「構造上の欠陥がある」と判断され、出席者はリコールの必要性を認識しましたがリコールを回避。販売会社に定期点検を利用し、ひそかにハウジングを修理する違法な「ヤミ改修」を指示していました。
その後、二○○○年七月、内部告発からリコール隠し事件が発覚。クラッチ系統部品のリコール隠しが発覚することを恐れ、販売会社へ「ヤミ改修」の中止を指示。二○○○年以降のクレームは「整備不良」として、ユーザーに責任を押し付け修理も有償で実施していました。
山口県の事故トラックは、リコールによる根本的な改修がされなかったため、クラッチハウジングの不具合が原因で、エンジン動力を伝えるプロペラシャフトが脱落、走行中にブレーキが利かない暴走を起こしたとみられます。