日本共産党

2004年5月21日(金)「しんぶん赤旗」

未成年者に急増する被害

有料アダルトやダイヤルQ2など

架空・不当請求が横行


 身に覚えがないのに高額な利用料を請求される架空請求。相手をだまして高額な利用料を請求する不当請求。いま、この二つが横行しています。有料アダルト番組の利用料、ツーショットダイヤル・ダイヤルQ2などの情報料を名目に請求するのが手口です。全国の消費生活センターに寄せられる相談のうち、若者、とりわけ未成年者を当事者にしたものが急増しています。


証拠を保管、支払わずに相談を

パソコンや携帯電話の普及で…

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 ひっきりなしにかかる相談電話。記録をまとめる間もなく次の電話が――。埼玉県消費生活支援センター(川口市)の相談コーナーは常時六―七人の相談員が電話に対応しています。「これだけの人数で対応していても、電話がつながらないという状態になることもたびたびです。昨年度から大幅に相談件数が増えている原因は、架空・不当請求の横行です」と、同センター相談担当部長の石田英夫さん。

 相談が一番多いのは三十代、次は二十代ですが、増加のペースが一番高いのは未成年者です。二〇〇一年度の千二百七十九件、〇二年度の二千八件、〇三年度の五千百七十四件と増えつづけています。

 携帯電話やパソコンの普及によって未成年にまで被害が広がり、本人だけでなく親が相談をもちかけています。

 昨年八月には、全国約六百人から振り込みを受けていた業者が逮捕されています。埼玉県内にある高校の卒業名簿などを使ってうその督促状を送りつけていました。

 「送られてくる督促状の文面は巧妙です。身に覚えのない請求は無視するのが一番。でも“二日以内に納入しないと自宅に担当者が訪問する”などと書かれているため、怖くなって振り込んでしまう方が大勢いるのです」と石田さん。

 国民生活センターによると、〇二年度に全国で三万六千件だった未成年にかかわる相談は、〇三年度には七万件を大きく超え倍加(グラフ参照)しています。

 相談の内容では、出会い系サイトやアダルトサイトの利用料など「電話情報提供サービス」が五万八千件を超え、77%を占めています。性別では、男性が75%と圧倒的多数です。

 国民生活センターにまで電子メールで督促状が届くほど、無差別に架空請求をしていることがわかります。

国民生活センターが対処助言

グラフ

 国民生活センターは、身に覚えのない架空請求にたいして、次のような対処をアドバイスしています。

 ▽支払わずに放置すること。

 ▽ダイヤルQ2ならば、まずNTTから請求があるはず。いきなり他の業者から請求がくるのは、根拠のない架空請求。

 ▽これ以上電話番号などの個人的な情報を知られないようにする。電話番号を知られると、今度は電話で請求してくることが予想される。

 ▽証拠を保管する。今後何らかのアクションが業者からあった時のために、請求のはがき、封書、電子メールを保管しておく。

 ▽消費生活センターに連絡する。請求された内容に不明な点や、不安をもった場合は、相手に料金を支払う前に、まず最寄りのセンターに相談しましょう。

 ▽悪質な取り立ての場合は、警察に届ける。


“着歌登録”したら「8万円払え」

未成年の契約取り消せます

 ある日、“(携帯電話の)着歌の登録ができます。月々三百円”という広告メールが届きます。それを信用して「登録」をクリックしたら、アダルトサイトに契約したことになってしまい、一カ月一万八千円となっていたのであわてて電話を切った。後日、知らない人から、遅延金を含めて八万円を支払え、という連絡がきた。どうしたらいいのか――。

 これは、国民生活センターが紹介する未成年者の相談事例です。相手をだまして高い利用料をふっかける不当請求も横行しています。

 「友人から“アイドルの待ち受け画面を無料で取り込める”と教えられた。取り込んだらアダルト番組にリンクしていた。ボタンを押したら“五日以内に一万九千円を払い込んでください”という表示が出た」という例もあります。

 未成年者の契約は、法律の上では取り消せます。しかし、業者が取り消しに合意せず、厳しい請求を続けるというのが実態です。

 同センターは、不用意に有料情報サービスに近づかないこと、困ったことがあったら最寄りの消費生活センターに問い合わせることをよびかけています。


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