2004年5月21日(金)「しんぶん赤旗」
三菱ふそうトラック・バス(昨年一月、三菱自動車から分社)のビルフリート・ポート社長は二十日、都内のホテルで記者会見し、大型車のクラッチ系統部品の欠陥を公表せず八年間隠ぺいしたことを明らかにしました。
来週にも国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出ます。
同社は一九九六年五月の社内対策会議で、事故につながる危険性を認識していましたが、部品を闇で回収する「指示回収」を続けていました。その結果、二○○二年に山口県で死亡事故を引き起こす形となりましたが、事故後にも対策はとられませんでした。
神奈川県警などは山口事件に重大関心を示し、業務上過失致死容疑で捜査します。
リコール対象は大型トラック「ザ・グレート」のクラッチを覆う金属カバー「クラッチハウジング」。プロペラシャフトが過剰に振動した場合、エンジントランスミッションの共振により、ハウジングに亀裂が入る可能性があります。最悪の場合にはシャフトが脱落しブレーキホースが破損する可能性があるといいます。
ハウジング欠陥をめぐっては〇二年十月、山口県周南市でトラック運転手の死亡事故が発生。トラックは、山陽道を走行中にブレーキが利かなくなり、県道交差点の地下道出入り口に激突するまで五キロ近くを暴走、県道へ降りる際、料金所を猛スピードで突っ切っていたことが山口県警の調べで分かっています。九四年には神奈川県、九八年には愛知県で人身事故が起きています。
ザ・グレートは一九八三年から九六年ま約十七万台を生産。不具合はこれまで約七十件に上ります。
同社はこのほか、大型トラック・バスのプロペラシャフト、観光バスの駐車ブレーキにも欠陥があったとしてリコールを届け出ます。