2004年5月15日(土)「しんぶん赤旗」
韓国の憲法裁判所は十四日、国会による盧武鉉大統領に対する弾劾訴追を棄却する決定を下しました。これにより、野党多数の国会が弾劾訴追を可決した三月十二日から職務権限を停止されていた盧大統領は、直ちに職務に復帰しました。
弾劾問題は、四月十五日の総選挙で与党・開かれたウリ党が単独過半数を獲得したことで、世論の審判は下っています。憲法裁の決定により法的にも決着がつき、国政は二カ月ぶりに正常化することになります。
大統領府スポークスマンは同日「新しい決意で『参加の政府』発足の精神を具現していく」と表明。三百以上の市民団体が結集した「弾劾反対汎国民行動」は「総選挙で表れた国民の意思を反映した決定だ」と歓迎する声明を発表しました。
憲法裁は、野党ハンナラ党と新千年民主党などが弾劾理由にあげた(1)無党籍の大統領がウリ党支持発言を繰り返し、憲法にない「大統領再信任のための国民投票」を提案するなどの違法・違憲行為(2)大統領側近による不正資金問題(3)経済破綻(はたん)と国政混乱―を審理しました。
その結果、(1)については一部の行為が選挙法と憲法擁護義務の違反したと認める一方、(2)については「大統領の職務と無関係」、(3)については「弾劾訴追の理由にならない」と判断。「法違反の程度は「大統領の罷免を正当化する事由ではない」と結論づけました。