日本共産党

2004年5月9日(日)「しんぶん赤旗」

つかみはじめた生きる望み

ホームレス支援雑誌
販売通じ仕事応援


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若者向けの雑誌『ビッグイシュー』を販売する路上生活者=東京・JR新宿南口

 「ホームレスの仕事をつくり自立を応援する」ことを目的に大阪で発売された雑誌『ビッグイシュー日本版』(二百円)が東京で発売されて五カ月。販売にかかわる路上生活者たちが、「畳の上で死ぬ夢がみれそう」と生きる希望をつかみはじめています。

 『ビッグイシュー日本版』は、イギリス生まれのストリートマガジン。内容は若者向けのもので、スタッフの多くはボランティアです。

 販売員は路上生活者に限られ、京阪神で八十人、東京で五十人。利益の一部でホームレス問題の解決にあたる非営利団体「ビッグイシュー財団」を立ち上げて社会還元する計画です。

 東京・JR新宿駅南口で『ビッグイシュー日本版』を販売して二カ月の田中島信博さん(56)=仮名=。田中島さんが販売できる部数は一日平均三十三冊。一冊の売り上げのうち百十円が収入で、一日三千六百三十円になります。

 「食事とふろ代にはなります」という田中島さんは、新宿中央公園でのテント暮らしで雨露をしのいでいます。「団塊の世代です。この年齢で仕事はなく、雑誌の販売だけでは路上生活から抜け出すことは無理」といいます。しかし、アパートを共同で借り、社会復帰への道を歩み出した販売仲間がいるのが田中島さんにとって励みです。

 「おれは働いているという実感がある。今は人と人の出会いが楽しい」

 ホームレスの支援に取り組む宮下忠子さんは「路上生活者を販売要員だけにつかうのではなく、編集から流通までにかかわれるようにするなど、本当に自立を応援する仕組みが必要です。非営利組織の力だけでは無理なので、国の事業として路上生活者や失業者に仕事をつくりだすことが大切」と話します。


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