2004年5月9日(日)「しんぶん赤旗」
二〇〇〇年や〇三年の総選挙で、自民党、公明党を中心にいずれも三百人を超す候補者を推薦した日本歯科医師会(日歯)の政治団体、日本歯科医師連盟(日歯連)。その「陣中見舞い」のばらまきぶりが、政治資金収支報告書が公開されている〇〇年総選挙の実態から浮かんできました。北海道、東京、大阪にみると…。
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〇〇年の総選挙は六月十三日公示、二十五日投票。日歯連の政治資金収支報告書によると、公示前後から投票日直前までで、各都道府県の歯科医師連盟に総額一億五千万円を超す交付金が支出されました。
これが陣中見舞いの原資になっていました。
北海道歯科医師連盟は、公示直前の十二日から公示後の十四日にかけて全小選挙区(一区―十三区)で、自民党候補に「陣中見舞い」を各五十万円ずつばらまいていました。これには中川昭一経済産業大臣、金田英行農林水産副大臣、武部勤衆院議運委員長、町村信孝党総務局長らがふくまれています。
東京都歯科医師連盟も選挙公示前の六月一日から二十二日までの間、推薦した計二十三候補に一律五十万円、計千百五十万円を「陣中見舞」「寄付」の名目で支出していました。
顔ぶれは、石原伸晃国土交通相、八代英太元郵政相、伊藤公介元国土庁長官など自民党二十二人と保守党(当時)の西川太一郎前衆院議員。
大阪の十九の小選挙区では、日歯連の政治資金収支報告書に自民十一、公明五、保守党(当時)三の計十九候補への支出が記載されていました。金額はいずれも五十万円。総額九百五十万円。日付は公示前の六月六日から公示後の十四日まで。
この支出については報告書に二本線がひかれ、「大阪府歯連盟扱い」と注意書きがありました。日歯連の「陣中見舞い」「推薦料」が、大阪府歯科医師連盟を経由して各候補者に交付されたとみられます。
本紙は情報公開請求で総務省からこの支出にかかわる領収書を入手しました。これによると、十九候補がそれぞれ代表を務める政党支部名や資金管理団体名で、日歯連あてに出している領収書が存在していました。
顔ぶれは、塩川正十郎元財務大臣ら自民候補以外に、田端正広、谷口隆義、福島豊、石垣一夫、北側一雄(党政調会長)の公明候補も。
これまで見た例はすべて五十万円ですが、特別枠もあります。
例えば、大阪では民主党の中野寛成候補(衆院副議長)に二百万円、中山太郎元外相、中山正暉元建設相に各百万円など。神奈川県でも小泉首相百万円、亀井善之農水相六十万円など。
一律五十万で計算しても〇〇年総選挙の推薦候補三百二十七人で、総額は一億六千三百五十万円にも。これに特別枠がくわわると二億円にせまっていきます。
一つの総選挙でこれだけの巨費を投じる日歯連の政界工作の実態解明が求められています。