日本共産党

2004年5月8日(土)「しんぶん赤旗」

「裁判員制度」を推進するのはなぜ?


 〈問い〉 衆議院で裁判員制度の採用が全会一致で採択されましたが、国民に新たな義務を課し、予算も要する制度をどうしてつくらなければならないのですか。(岐阜・一読者)

 〈答え〉 裁判の判決が国民の常識とずいぶんかけ離れていたり、罪のない人が有罪になる「冤罪(えんざい)」も数多く発生してきました。

 この根本原因として、試験に合格して研修後、社会経験の少ないままに裁判官になるキャリア裁判官制度があげられます。

 この現行制度を変えるために提案されたのが裁判員の制度です。

 いまヨーロッパ諸国では一般の国民が裁判官と同じ資格で裁判に参加する参審員制度が、アメリカなどでは主として有罪無罪を決定する陪審員制度が、普通におこなわれており、裁判への国民参加が常識になっています。

 日本共産党は以前から裁判への国民参加をもとめ、陪審員制度の導入を主張してきました。裁判員制度はヨーロッパでおこなわれている参審員制度に近いのですが、専門の裁判官とくらべて裁判員の比率が高ければ、国民参加として十分有効な制度になると考えており、その立場から法案に賛成しました。

 「国民の義務」という話ですが、たしかに有権者名簿から無作為に選ばれた人が裁判員になるわけで、義務という面もあります。しかし、いまある検察審査会の制度では、50年余の歴史のなかで、同じように有権者名簿から選ばれた人が、積極的に役割を果たし、90%の人が有意義だったといっています。

 また、裁判員制度は、義務というより、三権の一つでこれまで国民がほとんどかかわることができなかった司法権に参加するという「国民の権利」として積極的に理解すべきでしょう。

 費用は法廷の作り替えや裁判員への給与補償などで一定の額が必要ですが、使われない道路や港湾に公共事業費を投入するのとちがって、国民の権利にかかわる有用な費用ですので投入は当然だと思います。(

 〔2004・5・8(土)〕


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