2004年5月7日(金)「しんぶん赤旗」
二○○二年一月、横浜市で三菱自動車（昨年一月、三菱ふそうトラック・バスを分社）製大型トレーラーのタイヤが脱落し母子三人が死傷した事故で、神奈川県警交通指導課と瀬谷署は六日、道路運送車両法違反（虚偽報告）と業務上過失致死傷容疑で三菱ふそう前会長の宇佐美隆容疑者（６３）、三菱自動車元常務花輪亮男容疑者（６３）ら七人を逮捕しました。三菱側が「整備不良」と主張し、製品欠陥を隠してきた事故でついに刑事責任が問われました。
道路運送車両法違反で逮捕されたのは宇佐美、花輪両容疑者ら五人。業務上過失致死傷容疑で逮捕されたのは元市場品質部長の村川洋容疑者（５８）ら二人。
宇佐美前会長ら六人は容疑を否認しました。
国土交通省は、同日午後、同県警に同法違反容疑で告発。同課は法人としての同社も立件する方針です。
調べによると、広島県で一九九九年六月、中国ジェイアールバスの大型バスタイヤ脱落事故が発生。村川元部長らはその後の対策会議などでハブの欠陥を認識していたにもかかわらず、リコール（回収・無償修理）などの安全対策を怠った疑い。
同社製大型車のタイヤ脱落事故は九二年から続発しており、同県警などは危険が適切に回避されていれば、母子三人が死傷した事故は防げたとみています。
また、宇佐美前会長と花輪元常務らは、横浜事故後の○二年二月一日、国土交通省のリコール担当者から報告を求められた際、ハブの欠陥を示すデータを社内で得ていたにもかかわらず、ユーザーの整備不良でハブに摩耗が発生したなどと虚偽の説明をした疑いが持たれています。
監督官庁の国土交通省も最近まで、事故原因をユーザー側の「整備不良」と説明していました。
本紙は、横浜の事故直後に、同社製大型車でタイヤ脱落の同種事故が多発している事を突きとめ、「構造的欠陥」の濃い疑いを重ねて明らかにしてきました。
タイヤ脱落事故 二○○二年一月、横浜市瀬谷区で三菱自動車工業製トレーラーの前輪ハブが破断、脱落したタイヤの直撃を受け母子が死傷しました。同様の前輪ハブ破断は九二年以降五十七件、うちタイヤ脱落は五十二件に上りました。本紙は、事故の多発性とハブの欠陥をくり返し指摘。同社や商用車部門分社後の三菱ふそうトラック・バスは「ハブ破断の原因は整備不良」とユーザー側に責任を押し付けましたが、同社は今年三月、ようやく欠陥を認めリコールを届け出ました。
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