2004年5月5日(水)「しんぶん赤旗」
ロンドンの西の郊外、テムズ川河畔のラニーミード。ここで一二一五年、ジョン王がマグナカルタ(大憲章)に調印した際、近くの丘の上から眺めていた樹がいまも健在です。現在、樹齢二千五百年のイチイです。英国の環境保護団体「ウッドランド・トラスト」は四月末から、これらの古樹を守るキャンペーンを始めました。
(ロンドン=西尾正哉 写真も)
![]() ジュリアン・パービスさん |
「同トラストのいう古樹とは、樹種によって異なりナラ類なら樹齢千年、ブナは樹齢二百六十年で古樹になります。
![]() ロンドン郊外ウィンザーグレート公園の古樹、イングリッシュオーク(和名オウシュウナラ、樹齢1000年) |
英国には五万本の古樹があり、アルプス山脈以北の古樹の八割がこの地域に植生していると推定されています。英国で一番古い木は、イングランド西部サマセット州のイチイで、推定樹齢は三千八百年といいます。
ウッドランド・トラストのジュリアン・パービス理事長代理は、「古樹にとっては、気候の変化が一番の脅威です。現在のような温暖化はいままで経験したことはないでしょう」といいます。
気候の大きな変化に古木はたえられなくなり、その結果、とくに古樹がかつてない生存の危機に直面しているというのです。パービスさんは「いま、行動しなければ古樹を守れません」と力を込めて語ります。
「古樹は、歴史の記念碑です。数千年生きてきたものもあり、多くの物語を持っています」と古樹が歴史的建造物や遺跡に匹敵する国民の財産だと指摘するのは、同トラスト広報担当のシアン・トーマスさん。
トーマスさんは「古樹は、さまざまな動植物の貴重な生育環境も提供してきました」と、生物学的にも貴重と強調します。しかし、多くの国民はその存在・重要性に気づいていないといいます。「それがなくなってから気がつくのでは遅すぎます」
キャンペーンではまず全英に存在する古樹のデータを登録することが最初の行動です。パービスさんは「いくつかの集合的な古樹の植生はわかっていますが、全国のどこに古樹が存在するか誰も把握していません。全国の人に協力を呼びかけ、ホームページにデータを整理していきます」といいます。
さらにキャンペーンでは、開発から古樹を守ったり、古樹の新たな保護策を講じるように政府に働きかけるとともに、全欧州規模での古樹の保護を欧州連合(EU)に呼びかけるとしています。