日本共産党

2004年5月2日(日)「しんぶん赤旗」

南アフリカ総選挙

ANC勝利 ムベキ大統領二期目へ

最大課題は貧困問題

40%超す失業率克服を強調


表

 南アフリカ共和国の行政上の首都プレトリアで二十七日、さる十四日の総選挙で勝利したアフリカ民族会議(ANC)のタボ・ムベキ大統領の就任式が行われ、ムベキ政権は二期目に入りました。式典は、十年前の一九九四年に全人種参加の民主的総選挙が行われた日に合わせて実施、アパルトヘイト(人種隔離)政策廃絶十周年をも記念したものでした。

 ムベキ大統領は就任式での演説で、「根強くはびこった貧困が、わが国をむしばんでいる。この状況が続く限り、すべての国民が尊厳を完全に回復したとはいえない」と語り、40%を超す失業率など貧困問題の克服が十年目を迎えた新生南アの優先課題であることを強調しました。同政権は、世界最高レベルの犯罪率やHIVエイズ克服の課題にも直面しています。

 今回の総選挙で、ANCは前回66・36%を3・3ポイント強上回る69・68%の得票率で、四百議席中二百七十九議席を確保しました。ANCの勝利は、南アをアパルトヘイトから解放した勢力であるとの信頼が国民の間に根強く残っていることを印象付けました。

 ANCは憲法改正に必要な下院議席の三分の二を初めて選挙で確保しました。ムベキ大統領は、政策履行には憲法改正は必要でないと強調。インカタ自由党(IFP)の政府参加を含めた超党派政治の継続を確認しました。しかし、ムベキ大統領がブテレジIFP党首の内相職に代って提供した別の副大臣ポスト二つをIFPが拒否したことが波紋を呼んでいます。

 IFPは、クワズールー・ナタール州などの黒人地方政党で、前々回一九九四年の第一回総選挙ではANCとの暴力抗争を繰り広げました。今回の選挙では得票率、議席とも後退。同日実施の同州議会でも過半数を失い、第一党の座をANCに譲りました。

 一方、この選挙で、実質的な野党第一党である白人リベラル派の民主連合が前進したのは、アパルトヘイト時代の白人与党、国民党の後継政党である新国民党(NNP)がANCとの協力関係を再び強化したことに対する白人層の反発を反映したものとみられます。

 州議会選挙では、ANCは、全九州のうち、これまで過半数を制していなかったクワズールー・ナタール、西ケープ両州で前進したものの、単独過半数獲得は達成できませんでした。両州ではANCを中心にそれぞれ、連立に向けた協議が行われています。

 夏目雅至記者


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