日本共産党

2004年4月25日(日)「しんぶん赤旗」

イラク撤退理由 スペイン首相語る

指揮権手放さない 米高官は言った


 【パリ=浅田信幸】スペインのサパテロ首相は二十三日付のスペイン紙ムンドとのインタビューで、イラクからの撤退を決定した理由は、米国が占領軍の指揮権を手放そうとせず、国連が主権移譲過程において全責任を負う可能性はないとの結論に達したからだと述べました。

 首相は、最近のスペインと米国間の折衝の中で、ある米政府高官が「十三万の米軍が、米国の将軍でない誰かに指揮されるなどということがあると考えているのか」と語ったと紹介し、これによって「(スペイン政府として)明確な結論に達した」と述べました。

 この米政府高官の名前は明示していませんが、スペイン側から政府間折衝に参加したのはボノ現国防相だったと明らかにしています。ボノ氏は国防相就任前に訪米した四月初めにラムズフェルド国防長官らと会談していました。

 サパテロ首相が明らかにした米政府高官の発言は、米ブッシュ政権がブラヒミ国連事務総長特別顧問の主権移譲案を受け入れると表明しながら、イラクでの支配権に固執していることを示しています。

 サパテロ首相は、こうした経緯も踏まえて「イラク問題で国連が責任を負う可能性がないことは明らか」だと判断し、撤兵を最終的に決定したといいます。首相は「偽りの希望を持ち続けるのはまったく無意味だ」と言明しました。

 首相は、大衆的な賛成よりも反対を引き起こすような戦争を行ってはならず、戦争によってテロとたたかうことはできないと主張。スペイン軍撤兵はテロとのたたかいから引き下がることを意味しないと強調しました。

 四月十七日に組閣を終えたサパテロ新首相は翌十八日、スペイン軍のイラク即時撤退を指示したことを公表。ブッシュ米政権に衝撃を与え、イラクに派兵している「有志連合」国の間に大きな動揺を広げています。

 イラク撤兵の動き 三月の総選挙で社会労働党政権に代わったスペインが十九日にイラクから事実上の撤兵を開始、約千四百人の派兵部隊のうち第一陣二百六十人が二十日に帰国しました。すでに撤兵したニカラグアに加えホンジュラス、ドミニカ共和国も撤兵を決定し、ノルウェーも七月中に撤兵する方針。ポーランド首相も撤兵を示唆しています。拡散する撤兵の動きに、米政権はパウエル国務長官が派兵国首脳らに派兵継続の説得を続けています。




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