2004年4月15日(木)「しんぶん赤旗」
韓国で十五日、国会(定数二百九十九)の総選挙が投開票されます。少数与党・開かれたウリ党が「盧武鉉大統領を弾劾訴追した勢力に審判を」と主張。国会過半数を占める最大野党ハンナラ党は「庶民経済を悪化させた盧政権に審判を」と訴えました。選挙戦は、弾劾への強い批判が後押ししたウリ党の独走状態が一変し、首都圏を中心に両党の接戦になりました。
(ソウル=面川誠 写真も)
![]() 13日、ソウル市内の遊説で聴衆に手を振る朴槿恵・ハンナラ党代表(右) |
![]() 14日、鄭議長に代わってソウル市内を遊説する金槿泰・ウリ党院内代表(中央) |
韓国の大手日刊紙幹部は「総選挙には民主化を推進してきた勢力と妨害してきた勢力の正面衝突という歴史的な意味がある。盧政権にとっては政権の命運をかけた選挙だ。朝鮮半島の平和、韓米関係の変化にも影響を与えるだろう」と語ります。
弾劾訴追は憲法裁判所で審理中です。選挙結果は審理の行方にも影響を与えるとみられています。「総選挙は私の再信任投票」だと言明した盧大統領の去就にも直結します。
各メディアは十四日、ウリ党優勢の小選挙区は約百、ハンナラ党は約八十、接戦区が六十近くだと報じました。旧与党の新千年民主党は議席の激減が確実。左派の民主労働党は初の議席獲得が有力視されています。
ウリ党の支持下落に伴い、一時20%以下にまで減った無党派が再び増え、30%を超えています。ウリ党関係者は「『弾劾突風』はやんだ。優位だった多くの選挙区が激戦区になった」と危機感を示しています。
韓国メディアは、その理由として、▽「お年寄りは家で休んでいてもいいが、若い人は投票してほしい」という鄭東泳・ウリ党議長の失言▽「巨大与党による一党支配」阻止という野党の主張―などを挙げています。
支持率低下の責任を取って十二日に選対共同委員長を辞任し比例代表候補をおりた鄭議長は、最終盤の遊説をほとんどとりやめました。
鄭議長は十四日、「ハンナラ党が第一党になることは国民の危機であり民主主義の危機だ」と強調する談話を発表。鄭議長の代役として各地を回る金槿泰・院内代表は「ハンナラ党は腐敗政治の元祖であり、議会クーデター勢力だ」と力説しました。
一方、ハンナラ党の朴槿恵代表は「国民生活と経済再生にすべての力を注ぐ。生まれ変わったハンナラ党は、きれいな政治、政争のない政治を実現する」と語り、「大統領ではなく国民のために働く人を国会に送ってほしい」と訴えました。
民主労働党の権永吉代表は、「ウリ党は支持率下落の原因をわかっていない。弾劾反対の世論をウリ党への支持と同一視し同情心に訴える『感傷政治』が限界にきたのだ。政治と経済を根本から変える民主労働党こそが改革を主導できる」と強調しました。
最終盤ではひぼう・中傷も目立ちました。釜山では、盧武鉉大統領の義父が左翼政党活動家だったことをあげつらう文書がばらまかれました。野党候補の一部は「盧政権とウリ党は韓国を北朝鮮のようにする政治集団」といった発言を繰り返しました。
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