日本共産党

2004年4月7日(水)「しんぶん赤旗」

国費の不正 初めて認める

弟子屈署裏金疑惑 北海道警本部長が中間報告

告発者に責任押付け


 北海道警弟子屈(てしかが)署の不正経理疑惑で、芦刈勝治道警本部長は六日、道議会総務委員会で調査の中間報告を発表しました。芦刈本部長は、内部告発した元同署次長の在職年度(二〇〇〇年度)に限定して捜査用報償費と捜査費にかかわる組織的な裏金づくりを認め、陳謝しましたが、それ以外の期間の疑惑は否定しました。


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道警報償費疑惑で陳謝する芦刈道警本部長(右)、中塚道警総務部長(左)=6日、道議会

 中間報告で、同本部長は、弟子屈署で二〇〇〇年度の捜査用報償費三十四万七千五百二十円、捜査費五十三万六千九百二十円が執行され、その合計額のうち、「捜査活動に要する経費」と認められるのは、約二十四万円にすぎないことを明らかにしました。これ以外に、部内懇親会の飲み食いなど目的外使用に約三十一万円、使途不明が約三十三万円あった、としています。

 道警はさきに旭川中央署の捜査報償費(道費)の不正経理を認めましたが、今回、国費の捜査費でも初めて不正を認めました。

 中間報告によると、聴取したすべての捜査員が「捜査用報償費等を受領していない」「書類は次長から下書きを渡され、その指示により作成した」といい、元同署次長の斎藤邦雄氏に責任をかぶせたうえで組織的な裏金づくりを認めました。またすべての捜査員が「協力者には謝礼を支払っていない」と認めました。

 しかし、道警の報告は、二〇〇一年度以降の報償費などは「適正に執行」されているとし、斎藤氏が元次長の時だけ「不正」があったという内容です。また、署長二人に聴取したところ、「経理に関する事務に関与せず、次長に一任していた」と述べたとし、署長が裏金を私的に使ったかどうかにもいっさい触れていません。



裏金の仕組みに触れず/組織的不正闇の中

 道警裏金疑惑を追及している市川守弘弁護士の話 道警の中間報告は、裏金づくりのシステムにふれることもなく、その使途についても幹部の私的流用などを具体的に解明していません。その一方で、裏金づくりを告発した斎藤邦雄・元弟子屈署次長がすべて一人でやったように描き、斎藤氏に責任を押し付けています。真相解明をするどころか、真相を隠すための報告書だと思います。

 しかも斎藤氏が告発した二〇〇〇年度については不正を認めながら、二〇〇一年度以降については「不適正な予算執行は認められない」と結論づけています。それならば、なぜ道の監査委員が求めている捜査協力者の氏名を非開示にして、監査の妨害をするのか。

 真相を明らかにしていくうえでの焦点は、監査委員も強く要求している捜査協力者の氏名の開示です。

 弟子屈署の裏金づくりを証言した元同署次長、斎藤邦雄さんの話 中間報告の内容をみると、二○○○年度のわたしの時だけが不正を行ったと受け取れる。長年の組織的な不正は闇の中という感じがする。捜査員はどこの部署でも同じように書類を作成させられていたからこそ、わたしが頼んでもすんなり偽造してくれたのだ。

 身内の調査なんてこんなものでしょう。道議会総務委員会での追及と(より強い調査権限を持つ)百条委による解明しかないのではないか。


道警の「中間報告」 要旨

 北海道警弟子屈署の捜査用報償費(道費)、捜査費(国費)にかんする道警「中間報告」の要旨は以下の通りです。

 【二〇〇〇年度の捜査用報償費・捜査費】捜査員八人から聴取した。全員が、支出伺に記載されている捜査用報償費等を「受領していない」とし、書類に押し印した記憶はない、と説明している。支払精算書の記載は、全員が自分で書いたことを認めているが、記載内容については、次長から下書き見本を渡され、その指示どおりに書いたと述べている。添付領収書は、すべての捜査員が見覚えがなく、領収書に記載されている協力者とされる者は知らず、謝礼も支払っていない。

 【使途】二〇〇〇年度の捜査用報償費等の執行額約八十八万円のうち、協力者への謝礼、接触費、携帯電話通話料、夜間捜査の補食費など、捜査活動に要する経費に使用されたと認められる額は、刑事・生活安全課警備係の両者を合計して約二十四万円となる。捜査用報償費等としては執行できない経費として、部内外の会議に伴う懇親会経費等の交際経費として、地区防犯協会総会の懇親会経費、交通指導委員との懇親会経費など合計約三十一万円。特定できるのは、計五十五万円で、残りの三十三万円については、引き続き調査する。

 【二〇〇一年度から二〇〇三年度までの執行状況】

 二〇〇一年度以降の捜査用報償費等の執行者は十六人いるが、捜査員に聴取を行ったところ、全員が捜査用報償費等を受領し、間違いなく協力者等に対する謝礼または物品交付をし、または接触費として使用しているとのことであった。



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