日本共産党

2004年4月6日(火)「しんぶん赤旗」

破産法改正案 業者、労働者に朗報

破産時に敷金の一部返還

未払い賃金など最優先債権に


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 参院法務委員会で破産法の八十年ぶりの大改正が審議中です。会社が破産したときの労働債権(未払い賃金や退職金債権)やショッピングセンターが破産したときのテナントの保護強化が盛り込まれています。労働組合や中小業者などの粘り強い運動と、日本共産党の国会論戦による成果です。

共産党が再三要求

《保証金・敷金》

 長崎屋、マイカルなどの倒産時、テナントが移転し営業を続けようとしても、保証金・敷金がほとんど返還されないため問題となっていました。

 保証金・敷金は賃料の担保で賃料の四十―五十カ月分、多い人で数千万円にも。退去時には確実に返ってくるので銀行も担保と認めてきました。ところが、倒産手続きでは他の抵当権等の担保と違って一般債権と扱われ減額されてしまいます。

 テナント業者が経産省へ申し入れや交渉をおこない、日本共産党の大沢辰美、大門みきし、井上哲士の各参院議員、中林よし子前衆院議員も質問で追及してきました。

 今回、敷金は賃料と相殺可能だと明文化され、払った賃料分の敷金が戻ってくることになり、保証金・敷金の保護が大幅に拡大されます。倒産を理由とする賃貸借契約解除を制限するなど業者保護も強化されます。

《労働債権》

 破産すると、銀行などの抵当権や租税債権(未収の税金)が、労働債権より優先して回収されるため、労働者にお金がほとんど回ってこないケースが多くあります。破産時に賃金が回収できなければ死活問題であり、最優先に回収できる仕組みが求められていました。

 改正案は、未払い賃金の三カ月分と退職金(三カ月分の給料相当額)について優先順位を格上げし、最優先債権として扱います。労働債権より優先していた租税債権の一部を格下げし、賃金確保が大きく改善されます。

 建築現場などの請負的就労者の労働債権保護も強化。屋号を使用したり法人形態をとっていても実態が労働者であれば保護の対象となります。

 改正案ではまた、個人破産者の急増を受けて、破産者の経済的再出発を促すために、手元に残せる自由財産を約百万円(現行二十一万円)に大幅に上げました。

《井上議員が質問》

 一日の参院法務委員会で井上哲士議員は、破産法改正案が労働債権の一部を最優先債権とすることを評価した上で、未払い賃金の範囲を、会社更生法並みの六カ月分とすることを求めました。

 国際労働機関(ILO)一七三号条約で、労働債権は租税債権よりも高い順位の特権を与えていることを紹介。労働債権を租税債権より優先させるべきだとのべました。

 また、租税債権(納期限が来ていないまたは納期限から一年が過ぎている未収の税金)を最優先債権から格下げするため、税金滞納の差し押さえ処分が前倒しされないよう国税庁にただしました。

 徳井豊徴収部長は「納税者の生活維持や事業の継続等に配慮することは今後とも必要」と答え、運用に変更がないことを事実上認めました。


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