2004年4月6日(火)「しんぶん赤旗」
【カイロ＝岡崎衆史】イラクからの報道によると、イスラム教シーア派指導者サドル師側近の逮捕に端を発した同師支持者と米軍を中心とするイラク占領軍の大規模な衝突が五日、前日に続いてバグダッドなどイラク各都市で発生、衝突は全国に広がり、いっそう激化しつつあります。
四日以降のイラク人の死者は六十人を超えるとともに、米兵十一人、エルサルバドル兵一人も死亡しました。
首都バグダッドでは五日、シーア派住民が多数を占める北東部のサドルシティーと西部のショーラ地区で、サドル師支持の民兵組織と米軍が衝突。小火器で武装する民兵に対して、米軍は戦車や武装ヘリも投入して攻撃しています。サドル師側近によると、五日のバグダッドの戦闘だけでイラク人十人が死亡しました。同市では四日、イラク人二十八人が死亡し、七十人以上が負傷。米兵八人が死亡しました。
南部バスラでは五日早朝、サドル師支持の武装した住民数百人が州庁舎を占拠しました。
中部ナジャフでも五日、シーア派住民と占領軍の衝突が続き、ナジャフとディワニヤにあるスペイン軍部隊の基地に迫撃砲が撃ち込まれました。
ファルージャでは五日、米軍が町を封鎖し、武装ヘリで民家を攻撃。カタールの衛星テレビ・アルジャジーラによると、攻撃でイラク人六人が死亡したといいます。
イスラム教の創始者マホメット（ムハンマド）の後継者が誰かをめぐり、多数派（スンニ派）とは異なる立場をとる人々のこと。スンニ（「慣行」「範例」の意味）派が、七―八世紀のウマイヤ朝など歴史的に引き継がれたイスラム王朝を受け入れ、イスラム共同体の慣行に従うのに対し、シーア派は、創始者の弟子アリーの流れを引き継ぐことを主張しています。
「シーア」は「党派」を意味するアラビア語。当初は「シーア・アリー（アリーの党）」と呼ばれていましたが、その後「シーア」と略称されるようになりました。シーア派はイラク、イランなどで多数派です。
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