日本共産党

2004年3月21日(日)「しんぶん赤旗」

もう戦争は終わりに
鐘、歌、絵に願いこめ

3・20国際共同行動


 五、四、三、二、一――。カウントダウンとともに「NO WAR(戦争反対)」の声が響いた東京・芝公園。色とりどりの装いをこらして繁華街を行進した東京・日比谷公園の「ワールドピースナウ3・20」の参加者。一年前、イラク戦争が始まった二十日、戦争ノーの力強い声が雨天の首都に響きました。



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雨のなかをデモ行進する3・20国際共同行動IN東京・芝公園の参加者=20日、東京・港区
芝 公 園

人が死んでからでは
小泉さん、遅いんです

 一年前の戦争開始午前十一時三十三分。芝公園に集まった人々が思い思いにコールし、タンバリンやラッパ、鈴の音をならしました。

 「ずっと前からこの日はあけてきました」と話すのは、東京・町田市から友達と参加した太田綾子さん(22)。一カ月前から布を縫い合わせる「ピースキルト」の実行委員会をつくり、宣伝してきました。「イラクの子どもにも命がある」などと書かれた布が縫い付けられています。「地元の繁華街で呼びかけると、若者がぞくぞく集まってチクチクぬってくれた。もう戦争は終わりにしたい。世界では疑問や反対の声が広がっているのに、自衛隊派兵で協力する日本は逆行している」と。

 カウントダウンの合図でハーモニカをふき、イラクの平和を願ったのは東村山市の渡辺寿賀代さん(75)。「高校生の孫ときたんです。私は海軍の看護婦で、戦争はさんざんみてきましたから、自衛隊派兵の向こうにあるものがよくわかる。早くやめさせたい」。

 パレード出発を待つ人々の胸をうったのは児童劇団「風の子」の若者たちによるパフォーマンス。テロで日常を奪われた子ども、空爆で家族を失った子どもたちが「どうして」と問いかける劇です。日ごろ公演で全国を回る劇団員が、世界の子どもの気持ちになって脚本をつくり、練習してきました。「どうして? という問いが私たちに向いていると思います」と語る伊藤久美子さん(27)は、家族を失い、失語症になったイラクの子どもの気持ちになってセリフを考えました。

 生後十カ月の長男、光一君を連れて夫と参加した益子美登里さん(28)。「イラク攻撃が始まった時、出産で入院していました。同室のお母さんたちに『ひどいよね』と両腕を失った少年の新聞写真を見せました。ひとりの人間を産むのにこんなに大変なのに何で、ひどいことを続けるの? イラクに自衛隊を派兵してしまった小泉首相に『人が死んでからでは遅いんですよ』って言いたい」と怒ります。

 設計事務所に勤務する松木康高さん(28)は、職場の友人と参加。「慣れてはいけないことなのに、戦争やテロのニュースにだんだん慣れちゃってるところがある。自衛隊派兵は国民全体の問題なのにちゃんとした話し合いもなかった。多数決で何でもやっていいわけじゃない。こういう集会に来ることしかできないけど、今日のことを友達に伝えていきたい」と語りました。



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雨空のもと会場を埋め尽くしたワールドピースナウ3・20参加者=20日、東京・日比谷野外音楽堂
日比谷公園

一人の声は小さいけど
反戦の声大きくしたい

 日比谷公園の「ワールドピースナウ3・20」に新聞を見て一人でやってきたというのは、私立高校二年生ヒロ君(17)=東京・品川区=。「日本は戦争しないという平和憲法を持っている国。もっと世界に誇っていい。自民党も民主党も、憲法を変えるといっているのはとんでもない」と語ります。二十一日には高校生の平和集会があると知って「ぼくもいってみたい。学校でも憲法とか徴兵制とか、結構話題になっているんです」。

 イラストレーターの井上さん(24)は、仲間と大きな折り鶴をつくり、参加者に、鶴の翼にメッセージを書き込んでもらっていました。「僕なんか勉強不足で分からないところはあるけど、自衛隊は海外に行くべきではなかった。イラク戦争が間違っていたのは確かです」

 拍子木を打ち鳴らしながら、芝公園から日比谷公園までデモをした塚本ハル子さん(67)。茨城の龍ケ崎市から参加しました。「大同団結して行動を盛り上げないとね。女性の自衛隊員がイラクに行ったニュースを見て、私が小学生のころ、従軍看護婦が敬礼して戦地にいった情景を思い出しました。当時、『東洋平和』のためといって兵隊さんが出て行ったけど、今は『国際平和』でしょう。でも人道支援なら銃や戦車は必要ないはず。侵略に参加したとしか思えない」と語りました。

 音楽で平和を訴えていた大学生の尾島礼子さん(19)=埼玉県=は「戦争反対という人たちと連帯したい。一人ひとりの声は小さいけど、反戦の声をでっかくしたい。小泉首相は国民の声を聞けといいたい」。


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「旭川から世界に平和の声を」と、歌声も広がった集会=20日、旭川市

青年、一日も早く帰せ

陸自主力出発の旭川で850人

 北海道旭川市では二十日、米英のイラク占領支援のための陸上自衛隊主力部隊第三陣約八十人が旭川駐屯地を出発しました。これらの派兵に反対して開かれた3・20全道集会イン旭川には約八百五十人が参加し、「平和通りを再び師団通りにさせない」「イラクから青年を一日も早く無事に帰して」と訴えました。北空知、上川からもバスでかけつけました。

 名寄市民の会の中田不二夫さん(74)は、「イラク派兵隊員の奥さんが反対運動を盛り上げ派兵中止に追い込んで、と訴えていた」「自衛隊員の家族、子どもたちが心配していたが、このごろ話さなくなった」と報告しました。

 仲間とともに参加した竹田好江さん(24)=ソーシャルワーカー=は「戦争のためにお金を使ってほしくない。福祉、年金の充実のために回して」と元気に行進しました。

 旭川憲法を学ぶ会なども「ピースアクション」を行いました。



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雪まじりの雨が降るなか、合唱で平和を訴える高校生ら=20日、JR大宮駅西口

高校生「街頭初めて」

埼 玉

 さいたま市のJR大宮駅西口では県内の高校生が宣伝行動。他の団体といっしょに「世界で一つだけの花」などを合唱し、平和をアピールしました。

 二十一日に東京・渋谷で開かれる全国高校生平和大集会への参加を呼びかけた、岩槻市の福原邦春さん(16)は「日本全体に『憲法九条を守れ』の雰囲気を広げたい。みんなに声をかけ、二十一日の集会を成功させたい」と話しました。

 「平和のための埼玉の戦争展」のボランティアに参加する巻嶋満星さん(17)、萬谷友美さん(17)は、街頭での宣伝は初めて。巻嶋さんは「アメリカなどがイラクでやっていることは、どうしても占領に見える」と話し、萬谷さんは「日本はアメリカいいなりにならないでほしい」と訴えました。

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イラク戦争開戦時刻に鐘をつく玉泉寺の永井栄亮住職=20日、東京・あきる野市

仏教は「不殺生」です

東 京

 東京都あきる野市二宮にある天台宗玉泉寺では、イラク戦争が開戦された午前十一時三十三分、鐘楼の鐘を鳴らしました。

 永井栄亮住職(46)は「イラク戦争にゆゆしい思いでいます。寺の近くにある米軍の横田基地からは、ベトナム戦争で多くの兵士や弾薬が出て行き、犠牲者となり帰って来ました。仏教は本来『不殺生』の考えですから、平和主義に立つのは当たり前のことをしているだけなのです」と話します。

 同寺の客殿では、日本被団協作成の「原爆と人間」、森住卓氏の「イラク戦争と子どもたち」の写真パネルを展示(二十一日まで)。傍らには「怨(うら)みを以(もっ)て怨みに報ぜば怨み止まず」という天台宗開祖、最澄上人の「御遺誡(ごゆいかい)」の一節が張られていました。


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