2004年3月14日(日)「しんぶん赤旗」
三菱製大型車タイヤ脱落事故で問題になっているタイヤと車軸をつなぐ部品「ハブ」について、脱落事故が集中しているD型ハブは、車軸にかかる重量への対応強度を上げないまま設計されていることが十三日までに分かりました。本紙が入手した三菱ふそうトラック・バス資料で判明したもの。また、同社は設計時に「ハブ」の実車実験を行っていなかったことも明らかになりました。
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同社製大型車「ザ・グレート」シリーズについて、ハブの破損事故はこれまで五十六件報告されています。うち八割近い四十三件が九三―九六年製車に集中しています。
同社は、八三年から五回、ハブの設計変更を繰り返し、ハブはA型―F型までの六種類あります。
同社は、設計変更ごとに、車軸にかかる重さを想定した「対応軸重」を上げています。しかし、同社によると「九〇―九二モデル」のC型から、問題のD型への変更では「対応軸重」を六・〇トンのままで変えていません(表)。
ハブ破損事故は、C型七件にたいして、D型は三十七件と急増しています。
同社広報部は、A型からF型への一連の設計変更で(1)フランジ(つば)部を二ミリ厚くした(2)フランジ付け根部に丸みをつけ厚みを増した(3)ベアリングの位置を内側にするなどの変更を加えた―としています。
また、同社がハブの実車実験を設計時に行っていなかったことについて、神奈川県警も、当時の設計担当者から事情聴取し、実車実験を行わなかったためにハブの構造的な欠陥を見落とした可能性があるとみています。
国土交通省は、同社が脱落の原因を「整備不良」から一転、設計上問題としてリコール(無償回収・修理)を発表したことについて、道路運送車両法違反(虚偽報告)の疑いがあるとみて刑事告発も視野に調べています。