2004年3月13日(土)「しんぶん赤旗」
北海道警の芦刈勝治本部長は十二日、報償費不正支出疑惑をめぐり道議会総務委員会で中間報告し、旭川中央署の報償費の一部に不正使用があったことを認め、「道民に深くおわびする」と陳謝しました。同本部長は議会出席後の記者会見で「個人の問題を越えて組織的な問題」と語りましたが、裏金の私的流用や上部組織ぐるみの裏金づくりなど疑惑の核心には触れておらず、強い批判が出ています。
昨年十一月に発覚し、原田宏二元釧路方面本部長や斎藤邦雄元弟子屈署次長の証言で裏付けられた道警裏金疑惑で、道警が一部でも不正を認めたのは初めてです。
報告は、日本共産党道議団などによせられた、架空の捜査協力者名が記載された旭川中央署の内部資料について、「同一の印鑑がもと」「同一人の筆跡」と「推定されるものが多い」とし、「原本の写しである可能性が高い」と認めました。
関係捜査員の聴取では、「書類は作成したが捜査用報償費を受領せず、協力者にも支払っていないとする者がいた」とし、一部の裏金化を確認。署長、副署長への聴取では、本来の捜査活動経費支出以外に、残業者の夜食、署員の激励慰労、慶弔費などに支出していたとして、不正支出を一部認めました。しかし、署長ら幹部自身が裏金を「せんべつ」などに私的に流用したり、道警本部、警察庁をふくむ組織的な裏金づくりをしたことにいっさい触れていません。
中間報告を受けて、北海道公安委員会は道警の予算執行について異例の特別調査を実施します。道警本部長に監察の指示も出しました。
高橋はるみ知事は一九九八年度から二〇〇三年度までの道警全部の署の報償費、旅費等の特別監査を監査委員に請求しました。