2004年3月6日(土)「しんぶん赤旗」
いま世界各地で女性たちは、戦争に反対し平和と権利の確立のために、さまざまな行動をくりひろげています。8日は、「パンと権利と平和」を求めて、世界の女性がいっせいにたちあがる日、国際婦人デー――。
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派兵反対、暮らしを守れ | ||
| 集会、デモの成功へ | |
八日に東京で開かれる国際婦人デー中央大会に「百人以上の参加を」と、東京土建一般労働組合主婦の会は意気込んでいます。二月の総会で新会長に選ばれた佐々木富恵さん(62)は、「戦争で真っ先に徴用されるのが建設職人です。夫や息子を戦場に送り出したくありません。世界中の女性が手をつなぐ国際婦人デーは、平和を守るために大切です」といいます。
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夫が石工の宮田孝子さん(53)=村山大和支部主婦の会会長=は、「発注先の倒産、多額の不払いに苦しんでいます。景気を回復して暮らしを守れと政府にいいたい」。初めて参加する原田洋子さん(64)=同副会長=も「平和、暮らしを守る女性の交流をしたい」と話します。
東京・中央区の新日本婦人の会と母親大会連絡会は、国際婦人デーの成功めざし毎年バレンタインデーに銀座でパレードをおこなっています。今年は「イラク派兵反対」「サービス残業をなくせ。年金改悪は許さない。働くルールの確立。女性の権利を守れ」と「愛と平和のメッセージ」を発信しました。今、イラク派兵反対のピースバッジを普及し、中央大会への参加を呼びかけています。
新婦人中央支部の多くは職場班です。職場は裁量労働やコース別管理などで女性差別が横行、賃金格差が拡大しています。派遣、パートと社員が混在し、賃金や待遇改善について職場で話し合うのは困難。「でも国際婦人デーでは、職種や職場をこえた交流ができ、励まされ元気になります」と西之原恵美子事務局長。中央大会を成功させ、戦争と占領に反対する3・20国際共同行動もと、とりくんでいます。
矢藤実記者
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「ブッシュはクビよ!」 | ||
| 「熱情・勇気・力」掲げ | |
ホワイトハウスの目と鼻の先にあるビルの一室。六人の女性が国際婦人デーに合わせて開く、「音楽と話の夕べ」のビラの発送に追われていました。「平和と正義」を求める女性の「熱情、勇気、力」がテーマです。
切手を張り終え、ビラ配りと電話かけの分担。「私はできない」とケイさん(59)。「いいわ」と学生たちが返します。
この団体の名は「コードピンク」。米政府が出す「テロ警戒レベル」の色をもじったものです。二〇〇二年十一月、イラク戦争に反対し、全米各地からホワイトハウス前に集まった女性たちがつくりました。
「ピンク」が部屋にあふれています。ビラはショッキングピンク。バッジにTシャツ、スカーフ…。そして、なにより「ブッシュにピンクのスリップを送ろう」。「ピンクのスリップ(紙切れ)」は、米国では解雇通知を意味し、「ブッシュは首だ」というわけです。
事務局のビクトリアさん(24)は、イラクを訪問したばかり。
米国人のビクトリアさんたちに、イラク人女性が、お茶を出しながら、こう話しました。「私たちの車が米軍車両の脇に差しかかったとき、突然、銃弾が降り注ぎ、夫と子どもたちを貫いた。残ったのは、私と腕に抱えた十カ月の女の子だけ」
「バグダッドには、本物の恐怖がある」と、ビクトリアさん。米兵が罪に問われることはありません。
ワシントン=浜谷浩司記者 写真も
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暴力と孤立から保護へ | ||
| 自立支援の予算訴え | |
ドイツの首都ベルリンで家庭内暴力や精神的社会的に孤立した女性の強い味方になっているのが女性ホットライングループ「フラウエン・クリーゼン・テレホン(女性の危機の電話)」です。
ベルリン市から給与の援助を受けている専任の女性二人とボランティア十二人で毎日、電話相談を受けています。相談員のクリスティナ・クレチャさんは「どんな状況かを相談員の目で見極めながら話し、法的な権利もちゃんと伝えるようにしています」と語ります。家庭内暴力では「女性を保護するのが何よりも大切」といい、「避難所」、児童擁護団体、医師、臨床心理士、警察などと協力して動きます。
二〇〇二年に改正されたドイツ刑法で家庭内暴力は犯罪と認定され、加害男性が住居を出ていかなければならなったことも、暴力を防止する力になっています。
暴力と並んで多いのが精神的社会的に孤立した女性たちからの電話です。臨床心理士で相談員のダナ・ペルツアコスティラさんは「精神が病むまで孤立した女性の多くは子どものころの性的肉体的虐待、両親の教育責任放棄による心の傷を負っています。稼ぎもなく社会から孤立、疎外されている」と説明します。
最近の大きな問題はドイツ政府やベルリン市の緊縮財政によって、こうした女性を支援する組織への公的予算が削られようとしていることです。 「軍事予算ではなく女性の自立支援を」と「フラウエン・クリーゼン・テレホン」など四十の女性団体が、国際婦人デーのベルリンのデモに向け準備を進めています。
ベルリン=片岡正明記者 写真も
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立ち退きとたたかう | ||
| 団結するスラム住民 | |
インド中央部のデカン高原南方に位置するハイデラバード(人口約四百万人)。この中心部のスラム(州政府所有地)に突然ブルドーザー四台と警官約二十人がやってきたのは一月末でした。約五百世帯二千五百人が住む掘っ立て小屋のような家々は、あっという間に壊されました。州政府による立ち退き執行です。
「死んでも出て行くものか」と、ここに住んで二十五年のアンダルさん(32)は思いました。この地で結婚し二人の子どもも生まれました。ふるさとのようなものです。
「州政府はアパートを建てると約束したのに実行しなかった」と不信をあらわにします。土地の大半は政府がすでに事実上売り払ってしまっています。裁判所は土地を買った人への分配のために委員会をつくるよう政府に命じました。
スラム住人の立ち退き問題はインドのあちこちで起きています。
アンダルさんは全インド民主女性協会(AIDWA)の活動家。住民たちと政府庁舎に行き住み続けさせてほしいと嘆願しましたが、問題は宙に浮いたままです。
住民はブルドーザーによる破壊後も団結してふたたび小屋をつくり住んでいます。家財、食器も壊され、食料も足りません。男性たちは建設業などの日雇いです。その日、仕事があればいい方。アンダルさんは、AIDWAやインド共産党(マルクス主義)の人たちの助けもかりて、食料を配るなど住民の命を守って活動しています。
ハイデラバード=小玉純一記者 写真も
国際婦人デー 第2回国際社会主義婦人会義(1910年)が世界の女性統一行動日の創設を決め、各国に広がり、21年に3月8日が世界共通の国際婦人デーになりました。77年に国連デーとなりました。 日本では1923年に始まり、弾圧で集会を開けなくなっても自宅に集まるなどして続け、戦後は47年に再開。以来毎年、直面する要求を掲げてとりくんでいます。 今年は、「憲法を守れ」「イラク派兵反対」「リストラノー、雇用と女性の働く権利を守れ」と、各地で行動します。 ◇ 2004年国際婦人デー中央大会 8日(月)午後6時15分から、東京・九段会館で。 安斎育郎さん(立命館大学国際平和ミュージアム館長)の講演や参加者の交流など。集会後にデモ行進します。 |