日本共産党

2004年3月5日(金)「しんぶん赤旗」

ブレア英政権いっそう窮地

国連総長盗聴疑惑など浮上

メディアの批判強まる


 【ロンドン=西尾正哉】イラクの大量破壊兵器が発見されないことやうそ情報で脅威をあおった問題に続き、国連安保理事国や同事務総長を盗聴していた疑惑によって、ブレア英政権はいっそうの窮地に陥っています。

 国連事務総長への盗聴疑惑が明らかになったのは二月二十六日、ブレア内閣で国際開発相を務めたクレア・ショート氏が「(盗聴は)確かに行われていた」「盗聴された会話記録を実際に読んだ」と暴露したのが始まり。国連事務局は同日、「国連の活動にとって害悪であり盗聴は違法だ」と異例の速さで反応しました。

 ショート氏の暴露の引き金となったのは、英政府通信本部(GCHQ)の通訳、キャサリン・ガンさんが逮捕後に不起訴処分となった事件。ガンさんは、米国が英国に盗聴の手助けを求めたことをメディアにリークし、逮捕されました。注目を集めているのが、起訴取り下げの理由です。

 ガンさんの弁護士は裁判で「ガンさんは不法な戦争で英国民が傷つくのを防ぐためにリークした」とし、イラク戦争を強行した英政府の合法性を問題にする姿勢を明らかにしていました。そのため、ブレア政権が法的判断の根拠にした法務長官の意見書を明らかにするよう求めるとしました。起訴取り下げ発表は、この要求の五時間後に決定されました。

 英メディアは、「法務長官の意見書が公開されればイラク戦争の合法性が問題になるから、政府はあわてて起訴を取り下げた」と指摘。英政府は法務長官の意見書の公開を強く拒んでいます。

 意見書公開を拒む理由についてインディペンデント・オン・サンデー紙二十九日付は、次のように報じています。「法務長官は軍事力行使にはさらに明確な第二の国連安保理決議が必要との意見だった。二〇〇二年十一月から〇三年一月の間も、兵を送るにはもっと確固とした根拠が必要だとしていた。ところが戦争突入の数日前になって、十三年前から積み重ねた安保理決議が効力があるとして合法の『お墨付き』を与えた」

 つまり法務長官は開戦直前に意見を変えたと指摘しています。

 オブザーバー紙二十九日付も、法務長官はブレア首相への一月末の手紙で「第二の国連決議なしでは戦争は違法だ」と指摘していた、英軍指導部もイラク戦争の合法性がはっきりしないため開戦数日前まで軍事行動に従事することを拒否していた、と報じています。


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