日本共産党

2004年3月4日(木)「しんぶん赤旗」

スウェーデン発日本共産党

有力紙が党と綱領を紹介

「革命路線は『国民が主人公』」、小林多喜二や戦前の活動も


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日本共産党についての論評記事を掲載したスベンスカ・ダブブラデット紙


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スウェーデン左翼党第35回大会での「グローバル化」問題セミナーで発言する森原国際局次長(西尾正哉記者撮影)=2月21日、ストックホルム

 スウェーデンの首都ストックホルムで二月十九日から二十二日までスウェーデン左翼党の党大会が開催されました。左翼党から日本共産党に対して初めての党大会参加招待があり、日本共産党の代表として参加しました(本紙二月二十一、二十四日付既報)。大会開始の二日前の二月十七日付のスウェーデンの主要紙スベンスカ・ダグブラデットに、「より柔軟な路線に打ち込む日本の共産主義者たち」という長い論評が掲載されました。筆者はストックホルム大学で日本研究をすすめているマーツ・カールソン博士で、日本共産党の歴史とたたかいとともに、一月に採択したばかりの新しい綱領の内容を紹介しています。

 「この新聞は保守系の新聞で、発行部数は全国第二位。日本の政治がスウェーデンの有力紙の紙面に載ること自体がまれなのに、この保守紙が日本共産党について、それも好意的な論評を掲載するなんて、驚きました」と左翼党の人々が、紹介してくれました。

 論評の大要を紹介します。

 森原公敏党国際局次長

純度の高い党

 今日の日本社会が必要としているのは社会主義的変革ではなく、資本主義の枠内での民主主義的変革である。これを実現する上で基本的に求められているのは、大企業と財界の収奪に歯止めをかけ、またアメリカへの従属から抜け出ることである。次の段階ではじめて、資本主義を克服して社会主義、共産主義の社会を実現することが課題になる。

 これは、最近終わったばかりの日本共産党第二十三回大会で採択された同党の改定綱領で述べられていることである。一九二二年の創立以来の党名を守り(!)、また戦前と戦時中には地下での活動を強いられた純度の高いこの党のほかに、そのような党をほとんど目にしない。

 指導者の中には、一九三三年に警察署内で残忍なやり方で殺された作家の小林多喜二や、一九三一年以来一九九七年の引退まで党の指導的人物だった宮本顕治がいる。宮本は一九二九年に評論「敗北の文学」で頭角を現した。その中で宮本は、芥川龍之介の自殺を「小ブルジョア」文学の行き詰まりが芥川自身を追いつめたものと論じた。

共同戦線に注目

 現在、党綱領が一九六一年以来初めての本格的な改定がなされて、革命理論は「国民が主人公」のスローガンのもとに柔軟路線にとって代わられた。(改定)綱領をよく読んでとりわけ強く印象づけられるのは、この党がきちんとした党でありたいと強く望んでいることである。

 生産手段の社会的所有は宣言されているが、私有財産には決して手をふれないという。社会主義の日本においては、ソ連の官僚主義的独裁政治によって犯された誤りを、いかなる条件下でも繰り返さないと述べている。また、ある特定の政党を指導党として指定することは日本の社会主義と相いれないものであり、したがって複数政党制が擁護されるべきだと主張している。さらに、共産主義社会に至るすべての段階で、安定した世論〔の支持〕が先行しなければならないといっている。

 さらに綱領を通じて一つの中心課題として展開されているのは、帝国主義的な政策の追求と世界的覇権の野望によりみずからを世界の警察官と自認しているアメリカに対する批判である。具体的措置の第一として掲げられているのは、アメリカとの安保条約の廃棄であり、日本にある米軍基地を閉鎖することである。

 もう一つの最重要問題が、平和憲法の擁護である。それは、政府がその改定を決意していると見られるからだ。興味をひかれるのは、反動的な権力エリートに反対し民主的な連合政府を樹立するためにすべての民主的な勢力が共同の戦線を築こうという訴えである。この戦線には労働者や漁業関係者から学生に至るまで、もちろん実際に女性も含めすべての人々が参加する。

権威ある存在

 この綱領の矛盾点を指摘したり、皮肉ったりするのはやさしい。たとえば、農業生産における自給率を向上させるという。だが、それをいかにして第三世界との連帯と結びつけるかという説明はない。しかし、この党は一般大衆の前に、他と比較しても、原則に忠実で政治的に権威ある存在として立ち現れている。

 この党が創立以来たたかってきた多くの問題――農地改革や絶対主義的天皇制廃止その他――は、敗戦後、実行に移された。この党がソ連に対して自主的路線を保持してきたことも強調しなければならない(レーニンを手荒く扱おうとはしていないが)。


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