2004年3月3日(水)「しんぶん赤旗」
【カラカス=田中靖宏】ベネズエラでチャベス大統領の罷免投票を求める野党の行動が暴動化し、この四日間で少なくとも二人が死亡、数十人が負傷する事態になっています。背景には、チャベス政権の社会改革に抵抗する特権支配層と寡頭制(オルガルキア)勢力が米政権を後ろ盾にすすめる政権不安定化キャンペーンがあり、政府と革命支持勢力は警戒を強めています。野党がよびかけた行動への参加者は、一日も首都の街路にバリケードを築き、タイヤを燃やして高速道路を閉鎖するなど暴力行為をエスカレートさせました。
覆面して暴徒化したグループは、警備の国軍に石や火炎ビンを投げ、手製ロケットを撃つなどして挑発しました。国軍側は催涙ガスやゴム弾で応戦。一部で発砲があり、多数が負傷、国軍兵士と抗議参加者の双方に死者がでました。
チャベス政権打倒を目指す野党側は先に、大統領罷免の国民投票を求める署名を全国選挙評議会(CNE)に提出しました。これを審査してきた同評議会は、署名に重大な不正があるとして、疑いのある約百万人分について本人による再確認の措置をとると発表しました。野党側はこれを政権による不当な引き延ばしと反発、街頭での抗議行動を呼びかけていました。野党側が支配する民間テレビや新聞は「政権の独裁化、平和デモへの弾圧」といった大宣伝を続けています。
寡頭制勢力や特権支配層はチャベス政権の社会変革に反発し、二〇〇二年に国軍の一部と結んでクーデターを起こしました。国民の反撃でこれが失敗すると、続いて大掛かりな石油産業サボタージュで揺さぶりました。しかしこれも失敗。国民投票を求める署名運動はこれに続く反政府行動です。野党行動の暴動化について政府と革命支持勢力は、クーデター策謀に失敗した野党勢力の孤立の現れと批判し、外国からの干渉に警戒を呼びかけました。
一連の野党キャンペーンに米政権からの資金援助が明らかになり、国民の反発をうけ、二十九日には、カラカスで米国の干渉に抗議する数十万人のデモと集会がおこなわれ、ブッシュ政権の介入と野党勢力の策謀を糾弾しました。