2004年2月26日(木)「しんぶん赤旗」
「選挙の自由を守れ、民主主義と人権を守れ」――昨年四月のいっせい地方選挙で不当に逮捕・起訴された大分県豊後高田市の日本共産党、大石忠昭議員(61)への支援の輪が広がっています。国民救援会中央本部が呼びかけ、十一県で「大石さんを守る会」(準備会含む)が結成され、各地で大石市議を囲む会などが取り組まれています。
(大分・大星史路記者)
二十日に大分市内で開かれた「守る会の全国交流の集い」には、十一都県から百五十人が集まりました。岡山県の代表は、公正で慎重な審理を求める署名を職場ぐるみで取り組んだ経験を紹介し「大石さん一人の問題ではない。人権を守る壮大なたたかいだ」と語りました。
多くの支援にお礼をのべた大石市議は、「選挙の自由を不当に制限する公選法を変える“原告”として頑張ります。市民の要求実現のためにも絶対に負けられない」と決意を表明しました。
主任弁護人の河野善一郎弁護士は、この事件について、公選法裁判にとどまらず、国際人権規約二五条にある「自由かつ真正な」選挙を日本に実現する国際人権裁判としてたたかいを発展させていく必要性を強調します。
警察は、大石市議が選挙告示前に後援会ニュースを支持者らに配布したことをとらえ、公選法(戸別訪問、法定外文書配布、事前運動)違反だとして逮捕しました。三十二年間、地域新聞「みんなの高田」の配布や街頭宣伝を続け、選挙時には後援会ニュースをつくり情勢や選挙政策を伝える大石市議の日常活動を狙い撃ちにしたものです。
貧しい農家に生まれた大石さんは、十一歳の時に父親を亡くし、幼少のころから農業に従事し、市議となってからも市民の中に入り住民の苦しみや切実な要求を聞いて一心に働いてきました。その抜群の活動は市民から支持され、七一年以降九期連続当選を果たし、昨年には市議選史上最高の九百十二票を獲得しました。
大石市議の逮捕を聞いた地元住民は、「大石さんは豊後高田市にいなくては困る」と、自主的に即時釈放を求める署名を集めました。署名は党派を超えてひろがり、二週間で三千四百人にもおよび、大石市議の得票の三・五倍を超えました。全国からは、一千団体を超える即時釈放の要請書が大分地検に寄せられました。
大分地裁での公判は八回行われ、警察の異常な捜査状況やウソの証言などが次々に明らかになっています。
高田署が買収事件や他の戸別訪問の事案はまともに捜査もしていないのに、大石市議に対してだけ短時間に半数の署員を動員して大掛かりな捜査をしていました。
「大石市議が玄関に入るのを見た」という警察官の証言も、二十一日に支援者が行った現地調査では、警察官がいた位置からは玄関が見えないこともわかりました。
後援会ニュースを受け取った住民への証人尋問では、検察官が「あなたは共産党員ですか」と思想信条の自由を侵す違憲質問まで行っています。弁護側が直ちに異議を申し立てて質問をやめさせました。
検察側が証人申請した住民も、証人尋問のなかで「大石さんは豊後高田市にはなくてはならない人。私は大石さんの大ファンであることは間違いない」と証言。公判のなかでも、市民とともに歩む大石市議の姿が浮きぼりになっています。