日本共産党

2004年2月23日(月)「しんぶん赤旗」

「かけていないのに…」高額請求

同一の番号を持つ

クローン携帯?


 身に覚えのない高額な利用料を携帯電話会社から請求されている―。こんな訴えが寄せられました。携帯電話会社は「間違いのない請求をしている」と主張しますが、同種の苦情は総務省にも寄せられており、徹底した調査を求める声が出ています。(井上 歩記者)


総務省に相談46件 専門家も調査求める

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数秒できったりかけたりを繰り返している通話記録

 静岡県に住む木材販売業の男性(68)は昨年十二月、NTTドコモから「不審な」請求書を受け取りました。請求額は約一万三千円。それまでの月の利用料の三倍です。「全然無知で、使ったことがない」というインターネット接続のパケット通信も使ったことになっていました。

不自然な通話記録

 取り寄せた通話明細は「どうしても納得できない」ものでした。午後十時から午前一時ごろまでに、東京、大阪、愛知の各都県に一カ月で八十回近く電話をかけたと記録されていました。しかし、男性は「携帯をかけるのは月に数回。午後五時には電源を切り、午後十時に寝ています。商売も細々としたもので商用はすべて二十キロ圏内」だといいます。

 通話記録に不自然な点もありました。例えば同一と思われる電話番号に一度七・五秒通話して切り、その四秒後に通話を再開、それも十二秒で切って、また十六秒後に電話。十三秒、十七秒、七秒、三分、七分…などと二時間弱の間に連続十四回もかけたり切ったり、というのもありました。

 東京都内の団体職員の男性(55)も、身に覚えのない請求を受けた一人。お茶を飲む間もない、午後の仕事が一番忙しい時間帯に、三時間四十三分もアダルト番組に電話をかけ続けていたという記録になっていました。同番組は会員番号を入力しないと利用できないものでした。

会社は否定するが

 このような身に覚えのない請求があり、同一の電話番号を持つ「クローン携帯」のためではないか、との相談が、総務省に昨年三月から寄せられるようになり、昨年十一月末までに四十六件にのぼっています。不正なソフトでICをコピーしてできる、といわれるクローン携帯は昨年、テレビや雑誌などでとりあげられ、話題になっています。

 これに対し携帯電話会社大手では、NTTドコモが昨年十二月「極めて複雑・高度な対策が幾重にもされ、技術的に不可能」と発表。ボーダフォン、KDDI(au)も「クローンは存在しない」としています。大手三社は請求に身に覚えがなくても、基本的に「支払ってもらう」という姿勢です。

対応に不信と怒り

 冒頭の木材販売業の男性にはNTTドコモから「間違いのない請求をしている。電話機がどのような状況だったか確認し、全額の支払いを」との連絡がきました。男性は「対応に不信を持っている。怒りに震えている」と話します。

 情報通信分野のある専門家は次のように指摘します。「クローンは技術的に非常に難しい。しかし絶対ないとも言い切れない。情報通信分野で予測と違う事態が起こったことはある。明らかな事実は、身に覚えのない請求を受けたと訴える人がこれだけいるということ。原因を調査し、こうした事態が起きないようにするのが事業者の責任ではないか」


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