2004年2月13日(金)「しんぶん赤旗」
「申し込んでいないのに、くじが当選したかのようなダイレクトメールが送られてきた」「買うのをやめても、クレジットの引き落としが止まらない」――。ダイレクトメールで勧誘する「海外宝くじ」のトラブルが増えています。いったい、どんな手口なのでしょうか?
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「海外宝くじ」の勧誘とは…。ダイレクトメールが突然送りつけられ、「すでに当選した」「当選確実」「候補者に選ばれた」などの言葉で購入を誘います。多くは、申込書にクレジットカード番号などを記入して、支払いも当選金の入金も口座を通して行うもの。一回あたりの申し込み金額が二千円から三千円程度です。
しかし、日本の法律では、自治体が発売元の「宝くじ」と「サッカーくじ」以外は、発売も取り次ぎも授受も禁止されています。
国民生活センターの消費生活相談情報ネットワーク・システム(PIO―NET)では、この「海外宝くじ」にかんする相談が急増しています。
たとえば、「四百万円相当の乗用車か、現金四百万円当選しました」とダイレクトメールが突然届いた事例(四十代女性)。受け取るためには、海外の宝くじに応募するよう書いてあります。「支払いはクレジットカードで、十日以内に応募するようにとあるけれど、信用できるのか」と相談してきました。
「クレジットの引き落としが止まらない」(六十代男性)という相談例。送付されたダイレクトメールを見て申し込み、オーストラリア、カナダ、香港の宝くじを二年前から買っていました。
ぜんぜん当たらないので半年前に申し込みを中止し、やめたつもりでいたところ、「クレジットカードの引き落としが止まらず、購入が継続されていた」といいます。解約を希望してきました。
二〇〇一年度には二千六百二件だった相談件数が、〇二年度には六千四百三件と約二・五倍に。四月から十二月末日までの件数で比べると、〇三年度は前年比で一・二二倍です。(グラフ参照)
契約当事者は全年齢層にわたっており、約75%がダイレクトメールで勧誘されていました。
同センターは、入手した七種類のダイレクトメールの記載を分析しました。そのすべてに「すでに当選した」「当選確実」「候補者に選ばれた」などの記載があるため、「消費者に誤解を与える恐れがある」と指摘しています。
また、▽当選金を日本で受け取っても非課税であるかのような誤解を招く記載がある▽当選結果の確認方法が不明である▽業者の連絡先が海外で、しかも所在地がわかりにくいものが多く、トラブル時の交渉が困難になる――などの問題点がありました。
東京・代々木総合法律事務所 生駒巌(いわお)弁護士の話 「クレジットカードの引き落としが止まらない」という場合、自分の口座を解約するのが、一番手っ取り早くて、確実な方法です。たとえ解約したとしても、そのことで業者から訴えられることは、まずあり得ません。
こうしたものは、詐欺まがいの商品もまじっています。弁護士が間に入ればわかることもありますが、連絡先を特定するのはまず不可能に近いと知っておいた方がいいでしょう。また、国内の仲介業者であればまだしも、海外であれば訴えを起こすことも難しく、事実上泣き寝入り状態です。
刑法第一八七条では、こうしたくじを売ることも、取り次ぐことも、買うことも禁止されています。何より、「海外宝くじ」は買わないことが一番でしょう。
富くじを発売した者は、二年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。
2富くじ発売の取次ぎをした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3前二項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。