日本共産党

2004年2月10日(火)「しんぶん赤旗」

米の顔色うかがい派兵国入り


 自衛隊のイラク派兵承認は、戦後の日本の歩みを根本からくつがえす大問題です。ところが、まともな説明もないまま、戦争の大義も派兵の根拠もことごとく崩れ去ったもとで、派兵承認を強行した小泉内閣と自民・公明両党の罪は、歴史的に問われます。

平和の理想汚す

 「国権の最高機関」である国会が派兵を承認したことは、国際的には、日本という国が、自国の憲法を踏みにじってまで軍隊を海外に派兵する国に大きく歩をすすめたことを意味します。これが、唯一の被爆国として、憲法九条をもつ国として、日本が世界に示すべき平和の理想を大きく汚すものであることは、いうまでもありません。

 衆院予算委員会以来わずか十日の国会論戦でも、派兵の口実はすべて崩れました。戦争の大義も失われ、憲法の原則からもはずれ、米英の占領支援となることが、日本共産党の追及で明らかになりました。それでもなぜ派兵を強行するのか――。

 与党は、これ以上、派兵計画のボロが出る前にさっさと承認をすませたかったのでしょう。

 そこには、憲法や国際法のルールや、平和を求める国際世論よりも、「日米同盟」を最優先するという小泉自公政権の異常な米国いいなりの姿勢しかありません。もともと理のない米英のイラク戦争を、国際世論に反していち早く支持し、米国から「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」と迫られると、派兵を決めたのが、日本政府の対応でした。

世界的には特異

 一九九一年の湾岸戦争で、日本政府は米国の要請で戦費負担を決め、「現金自動支払い機」と揶揄(やゆ)されました。今度は米国の一喝で派兵まで決めました。どこまでも米国の顔色をうかがい、ひたすらその意に従おうとする日本政府の姿勢は、自国の憲法を踏みにじって恥じない姿とともに、世界の目には特異に映るにちがいないでしょう。

 小泉首相は「イラク復興支援は国連が呼びかけている」といいます。しかし“多国籍軍”への協力を求めた国連安保理決議一五一一が採択された後でさえ、本格的な派兵を表明した国は日本だけです。ましてや、米国が圧倒的な軍事力で他国を抑圧し、横暴勝手な振る舞いをすることを認める国など、ほんの一握りでしかありません。米国の「一国覇権主義」には批判と懸念が広がっています。

 国会では数を頼みに派兵承認を強行しましたが、世論は二分しています。しかも「派兵賛成」といっても、その中身は「人道復興」支援が多数であり、憲法じゅうりんの不法な占領支配などを支援する声は少数です。

 国会審議中も、イラク派兵の本質を見抜いた国民の派兵反対の運動は広がっています。イラク戦争反対で全世界一千万以上の人たちが立ち上がったように、憲法九条に象徴される平和の原則こそ、世界では大きな流れです。

 この流れを大きく、ゆるぎないものにすることが、いまこそ求められています。(山崎伸治記者)


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