日本共産党

2004年1月31日(土)「しんぶん赤旗」

ハットン報告

“政府免責の八百長”

開戦理由解明せよ 英メディアなどが批判


 【ロンドン=西尾正哉】英国防省顧問ケリー博士の自殺に関する独立司法調査委員会(委員長・ハットン判事)最終報告公表から一夜明けた二十九日、BBCのダイク社長がデービス会長に続いて辞任を表明しました。ブレア首相は「BBCの独立を尊重する」と謝罪を受け入れ、BBCとの「和解」をすすめる姿勢を示しました。しかし、ハットン報告には「バランスを欠いた報告だ」「政府の疑惑を解明する完全な独立調査が必要だ」などの批判が英メディアや知識人などからあがっています。

 インディペンデント紙は一面のほとんどを白紙にし、真ん中に小さく赤字で「政府を免責するための八百長報告か?」とのフレーズを際立たせ、報告を批判しました。同紙は「ハットン卿は、虚偽の見通しに基づいて英国を戦争へと導いたのかという非常に重要な疑問を解消できなかった」と指摘。同紙社説は「BBCの報道がケリー博士に圧力を感じさせるような雰囲気をつくったということを受け入れるとしても、一方的な決め付けは証拠に反した決定だ」と批判しました。

 ガーディアン紙は、「政府を擁護するのに都合の良い証拠だけを選び、BBCを支持するものをはずしたと非難される余地を残した。最終結論とくい違う証拠は回答されないまま放置されている」と指摘しました。

 調査委員会の審理は、大量破壊兵器疑惑全体を対象にしたものの、最終報告では、「『イラクは大量破壊兵器を四十五分以内に実戦配備可能』という主張が誤りだったと政府が事前に知っていたか」という狭い範囲に終始しました。そのため、イラク戦争全体についての独立した調査を行うべきだという声が強まっています。

 イブニング・スタンダード紙二十九日付の調査では、回答者の七割もの人が「イラク戦争の理由について完全な独立した調査が必要」と答えました。ハットン報告を「政府を免責する八百長報告」だとみている人は49%に上り、BBCが最大の非難を受けるのは不公正だとみなす人は56%でした。

 三十日付の英紙タイムズは、同国情報当局が対イラク開戦前に入手した大量破壊兵器に関する情報の信ぴょう性について英下院情報・安全委員会が新たに調査を行い、六月に結果を公表すると報じました。対外情報部(MI6)のディアラブ長官らを召喚し、「なぜ(大量破壊兵器についての)情報が信頼でき、正確であると考えるのか、いっそうの証拠提出を求める」といいます。


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