日本共産党

2004年1月31日(土)「しんぶん赤旗」

日本共産党23回大会 外国来賓に聞く

中南米に革新の風吹く

メキシコ・民主革命党全国評議員・下院議員・党下院議員団国際関係調整者

ホセ・フアン・ガルシア・オチョアさん


 大会の綱領と決議を読み、代議員の討論を聞いて、国民とともに民主主義を一歩一歩築いていくという点で私たちの党との共通点を強く感じています。

 民主革命党は、メキシコ共産党を含め左翼勢力が合流して一九八九年に設立されました。党名そのものに私たちのめざす方向が示されています。

◇    ◇

 わたしたちは、二〇〇三年七月の総選挙で全国で約19%を得票し、五十二議席から九十七議席に躍進しました(下院定数五百)。九七年の総選挙では百二十五議席、二〇〇〇年に五十三議席に後退してからの回復ですから、「結果はよかったが不十分」とみています。

 同時におこなわれた地方選挙でも、メキシコ市長選では九七年以来の党員市長の座を確保。市内全十六区中十三区で区長を獲得しました。また、定数六十六の市議会で三十七議席を得ました。

 私たちが与党になっているのは四州とメキシコ市(連邦区)で、人口約一億のうち二千三百万人がそのなかで暮らしています。

 総選挙などでの前進は、われわれが市長をあずかるメキシコ市政への高い評価のおかげです。同市では、二〇〇〇年十一月から、七十歳以上のすべてのお年寄りに月六百ペソ(約六千三百円)の年金を無条件で支給しています。母子家庭や障害者への現金補助も開始しました。交通渋滞を緩和するための幹線道路の立体化にも着手しました。これらの実施にあたっては、市幹部職員に与えられていた高級車や調度品などのぜいたく品を一掃し、大幅な経費節減をはかりました。

 半年ほど前、「あなたのところの州知事をどう評価しますか」という世論調査がありましたが、私たちが与党のところは他の州とくらべてより高い評価を得ました。

 メキシコ市は十段階評価で八です。二〇〇六年の大統領選の候補者は未定ですが、メキシコ市の現市長を候補に想定した世論調査では四割以上の支持でトップです。

 メキシコ市をはじめ、私たちが与党の州政の現実をみて、民主革命党に国政を任せても大丈夫、そのほうがよくなると考える人が確実に増えてきたのでしょう。

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 中南米ではこの数年来、ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチンなどで次つぎと左派政権が誕生しています。新しい革新の風が吹いています。

 これらの国を含めてほとんどの中南米の国は、米英のイラク戦争に賛成しないという立場を貫いています。こうした新しい変化の背景にあるのは、何よりも、米国の圧力のもとで各国に強いられてきた新自由主義経済の矛盾が深刻になっていることです。市場最優先の新自由主義路線で、国民生活はよくなるどころか、いっそう貧困化がすすんでいます。みな新自由主義路線にうんざりしており、その転換を求めています。

 どの国も、大規模な民営化や国内産業の衰退、対外債務の累積など、新自由主義路線の大きな負の遺産をかかえています。それをどう改革していくか。決して容易ではありません。外資は必要ですが、国内市場、国内資本をどう育てるか、新自由主義路線がなおざりにしてきたそれらの問題を考えなければなりません。

 グローバル化や自由貿易協定の問題でも、どうすれば国民の利益につながるかという視点が必要です。これらの点で、たとえばブラジルのルラ大統領が中心的政策としてかかげている「飢餓ゼロ」は、実行可能であるだけでなく、国内市場の活性化にもつながるものとして私たちは評価しています。

 中南米の変化のうらにあるもう一つのことは、左翼勢力自身の基本姿勢での変化です。中南米ではゲバラに象徴されるように、武装ゲリラ的闘争、過激派的闘争の影響があるのですが、政治闘争をこそ重視すべきではないかという方向への転換です。情勢は複雑ですが、それは新しい要因だと思っています。

 いいかえれば、民主主義を実現するたたかいの重要性であり、そのためにはどういうたたかいかたをするかが問題になっていると思います。状況に違いはあっても、日本共産党がいま民主主義革命を正面にすえていることに共感を覚えました。

 いずれにせよ、ある国の政治・社会の変革にあたって、党がすべての問題を解決できるというものではありません。党が展望を示し、提案するなかで、実際に改革をしていくのは国民であり、社会である、というのが私たちの立場です。


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