日本共産党

2004年1月31日(土)「しんぶん赤旗」

イラク派兵

口実崩れた

共産党の追及で重大事実次々



 自衛隊のイラク派兵が、いかに大義なき戦争、不法な占領への加担であるか−。わずかな国会審議の中でも、日本共産党の追及で重大な事実が次々と明らかになりました。

大量破壊兵器の存在「断言できない」と首相

侵略戦争と占領への加担に

 軍事占領は戦争が継続している状態です。そうである以上、イラク戦争に正当性があったのかどうかは、自衛隊派兵の「大義」に直結する決定的な問題です。

 イラク戦争は、国連憲章の平和のルールを真っ向から踏みにじった先制攻撃の戦争でした。

 それでも米英が戦争の「大義」としていたのは、「イラクの大量破壊兵器保有」でした。小泉純一郎首相も「保有」を明言し、この戦争をいち早く支持しました。

 ところが、いまにいたるも大量破壊兵器は何ひとつ発見されていません。

 日本共産党の志位和夫委員長は、ブッシュ政権の元財務長官の証言などを示し、「戦争開始から十カ月、大量破壊兵器が見つからない事実をどう説明するのか」と追及(二十二日の衆院代表質問)。小泉首相は「引き続き捜索を注視する」とのべるだけでした。

 その後も、米政権が大量破壊兵器捜索のためにイラクへ送りこんだ米調査グループの前団長のデビッド・ケイ前米中央情報局(CIA)特別顧問は、「もともと存在しなかった」と証言。イラクの保有を断言していたパウエル米国務長官も態度を変え、大量破壊兵器保有の事実関係について「未決着だ」と述べ始めました。

 日本共産党の穀田恵二国対委員長が、ケイ氏、パウエル長官の発言もあげながら追及したのに対し、首相は「(大量破壊兵器問題が)未解決というのは事実」「持っていないとも、持っているとも断言できない」と答弁(衆院予算委、二十六日)。保有を断言していた政府の立場が崩れ去りました。

「自衛隊は指揮下に入る」と占領軍

憲法が禁止する「交戦権」行使

 「大義」なき戦争に続く占領下での自衛隊の活動−。これが占領の一翼を担い、違憲の交戦権と武力の行使にあたることを示す証拠も、次々に明らかになりました。

 本紙の質問に、イラク占領軍司令部が「自衛隊は第七連合統合任務軍(CJTF7=イラク占領軍)の指揮下に入る」と明確に回答。穀田氏が、この事実を突きつけ、「指揮下に入らないというのなら、(証明する)証文を出せ」(二十六日)と追及したのに対し、首相は何一つ根拠を示すことができませんでした。

 しかも、日本共産党の赤嶺政賢議員が暴露した政府内部文書には、「派遣隊員が勤務するCJTF7司令部」「派遣隊員が勤務する多国籍師団(南東部)司令部(バスラ空港内)」と、自衛隊がイラク駐留米軍に「勤務」している実態が明記されていました(三十日の衆院イラク特別委)。石破茂防衛庁長官は「勤務することがありうる」と答弁、自衛隊が占領軍に完全に組みこまれて活動していることを認めたのです。

 法的にみても、占領軍の一員になることが明らかになりました。日本共産党の志位和夫委員長が二十二日の衆院代表質問で示した、日本政府にあてた連合国暫定当局(CPA)の書簡は、派兵される自衛隊が「CPA命令一七号に定められたように、処遇される」ことを明記しています。同命令は、占領軍の構成員に、裁判権免除などの特権を与えることを規定しているのです。

 山口富男議員は独自調査も示し、「占領軍としての特権と保護を受けながら、もう一方では、占領軍の一員でないというのは国際社会で通用しない」と追及しました。

 政府は、憲法九条が禁止する「交戦権」の範囲に「相手国領土の占領、占領行政」も挙げてきました。法的にも実態的にも、占領軍の一翼を担う自衛隊の活動は、違憲の「交戦権」の行使そのものです。


答弁ボロボロ

 イラク派兵を“慎重の上にも慎重に”判断する根拠としていた陸上自衛隊の先遣隊報告−−。政府答弁は、小泉首相が“虚偽答弁”の撤回に追い込まれるなど二転三転。大量破壊兵器が今なお見つからず、イラク戦争の「大義」も崩れ、ボロボロの状態です。派兵の道理のなさが、ここまで明らかになった以上、撤回する以外にありません。


図

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サマワ市評議会ある?ない?

ついに判断不能

 政府が派兵先となるイラク・サマワ市の「治安安定」の根拠としていた同市評議会は存在するのかどうか−派兵命令の前提となる問題でも、政府の説明はくるくる変わり、とうとう判断不能に陥りました。

 陸上自衛隊部隊が派兵されるサマワを調査した先遣隊の報告書は、「サマワ市評議会は住民の意向を反映した構成のため、実質的に機能している」「(治安情勢は)比較的安定」としていました。

 小泉純一郎首相も二十七日の衆院本会議で、「サマワの治安は、住民の意向を反映した市評議会、穏健な宗教勢力等の存在により治安は安定」とのべました。

 しかし、その直後に開かれた衆院予算委員会では、野党の追及に、川口順子外相が「二十四日にサマワの評議会も解散をした。評議会メンバーは総辞職をした」と答弁。サマワ市評議会は存在しないとの認識を示したのです。

 政府が派兵の根拠とする治安「安定」の理由を覆す答弁に野党は抗議。首相は二十八日の衆院本会議で「サマワ市評議会が現在存在しているとの発言をしたが、これを撤回する」と訂正しました。首相が本会議で自らの答弁を撤回したのは前代未聞のことです。

 石破茂防衛庁長官も同日の衆院予算委員会で、日本共産党の佐々木憲昭議員の追及に、「二十七日の正午すぎ」には解散の情報を知っていたとのべました。

 その後、評議会の存在については、解散していないとの情報がテレビで報道されるなど混乱。三十日の衆院イラク特委で川口外相は、“総辞職した”とのオランダ軍の情報や“総辞職していない”とのCPA(連合国暫定当局)の情報をならべ、政府として「確たる判断を下す状況にない」と答弁。判断不能に陥ったのです。

 「解散」の情報をいつ知ったかをめぐっても、石破長官は二十六日の時点で「報道を承知」していたと変わるなど、あやふやでした。

議長なの?代理?代表?

だれに会ったか

 先遣隊の報告書は二十日、ムサンナ州知事を訪問し、約三十人の現地関係者と会ったとしています。ところがその際、サマワ市評議会のだれと会ったのか、肝心な点で石破長官の答弁は二転三転しました。

 「二十日に宗教指導者あるいは市評議会の方、部族の方、お目にかかり、その中に市評議会の議長がいた」。二十九日の衆院イラク特別委員会で、石破長官はこう答弁しました。会ったのは「評議会の議長」だったというのです。野党の追及に、「この答弁は一貫している」とまで言い切りました。

 しかし、石破長官は与党の質問に、「念のために現地に確認をおこなった。議長代理だった」とあっさり変更。いいかげんな長官の答弁に抗議して野党は退席しました。再会された審議で今度は、「サマワ市評議会の代表であるという紹介があった」と、「代表」といい始めたのです。

写真
赤嶺議員(左端)の追及で審議が中断した衆院イラク特別委=29日午後、国会内

 「議長」、「議長代理」、はたまた「代表」か−先遣隊の会ったという人物がだれだったのか、石破長官の答弁は半日の間に二度も変わる迷走ぶりです。

 三十日、日本共産党の赤嶺政賢議員の追及に、長官自身が「サマワ市評議会の代表、議長代行、そして代理というふうに答弁内容が変わっていったということはご指摘のとおり」と認める始末。まったくいいかげんな答弁だったことを裏書きしました。

政府の意図 赤嶺質問ではっきり
派兵 先にありき

 政府の答弁が二転三転したのはいったいなぜでしょうか。そこには、「派兵先にありき」でシナリオを書き、それに沿って、わずか一日のずさんな現地「調査」で、いいかげんな「報告書」を作り上げた政府の姑息(こそく)な姿勢が現れています。

 そのことを如実に示したのが、日本共産党の赤嶺政賢議員が示した政府の内部文書「最新のイラク情勢と陸自派遣の調整状況等について(案)」です。

 この文書は「サマワ市評議会議長」から、「(自衛隊派兵歓迎の)【最新のコメントを再度(可能であれば書面で)確認できれば望ましい】」と指示しています。自分たちに都合のいい情報を集めて、先遣隊の「報告書」を仕上げようという意図が丸見えです。

 サマワ市評議会をめぐっても、政府は二十五日までに、解散したとの情報を得ていたのに、国会にも国民にも、まったく明らかにしませんでした。

 そして、「サマワ市評議会は…実質的に機能している」とまったく事実を踏まえない情報を盛り込んだ、ずさんな先遣隊「報告書」を公表。それにもとづいて、二十六日には与党で自衛隊本隊の派兵を確認し、二十七日には国会に派兵承認案を提案したのです。そして本会議、委員会で虚偽の答弁をくり返し、それが追及されると、撤回、陳謝する始末でした。

 派兵命令の前提はもはや崩れたのです。それにもかかわらず、自分たちの計画にあわせて派兵をごり押しするなど、これほど国民と国会を愚ろうする話はありません。

 事実を隠し、ただ「派兵先にありき」で、自衛隊派兵を推し進めることなど認められません。サマワ先遣隊報告川口外相が誤り認める 川口順子外相は三十日、衆院イラク特別委員会で、陸上自衛隊派遣先のイラク・サマワ市評議会の存在について「日本政府として確たる判断を下す状況にない」と答弁しました。これは治安情勢を調査した先遣隊の報告中、同評議会について「住民の意向を反映した構成のため、実質的に機能している」とした記述が誤りであることを正式に認めたものです。民主・池田元久議員の質問に答えたもの。

 サマワ市評議会について野党側は、政府が治安情勢の判断根拠とした陸自先遣隊の報告と実態が食い違っていると問題にしています。



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