日本共産党

2004年1月28日(水)「しんぶん赤旗」

国連査察が効果上げた

イラクの大量破壊兵器なかった

ケイ前調査 団長改めて発言


 【ワシントン=遠藤誠二】「イラクに大量破壊兵器はなかった」と明言して米イラク調査グループ(ISG)責任者の職を辞任したケイ中央情報局(CIA)特別顧問は、二十六日付の米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで、核兵器や生物・化学兵器は存在しなかったと改めて断言、調査の詳しい内容を明らかにしました。ケイ氏は、フセイン政権が国連による査察活動を恐れ兵器開発・保持をやめたとのべ、国連査察がうまく機能していたことも明らかにしました。

 ケイ氏は、フセイン政権の化学兵器開発について、「九〇年代半ばに大量の貯蔵化学兵器はどこかで廃棄された」「九〇年代は、大規模な化学兵器製造はおこなわれなかった」とのべるとともに、一九九八年の米英軍による大規模空爆でかなりの施設が破壊されたとの考えを示しました。

 生物兵器については、猛毒のリシン開発研究をおこなっていた証拠はあるものの、「大規模な製造は進めていなかった」と指摘。昨年、国連安保理の場でパウエル米国務長官が「存在する」と紹介した生物化学兵器の移動型トレーラーについては、気象観測用の気球の水素かロケット燃料をつくるものであり、兵器とは無関係であると語りました。

 核兵器開発については、フセイン政権は二〇〇〇年とその翌年に開発を再開させようとしたが、「驚くことに、われわれが知っているイランやリビアに比べ、イラクの計画はまったく遅れたものだった」と言明し、差し迫った脅威ではなかったことを強調しました。

 ブッシュ米大統領が昨年の一般教書演説で、イラクが西アフリカのニジェールからウランを購入しようとしたと指摘した件については、「ニジェールについては何も発見しなかった」とのべました。

 ケイ氏は、フセイン政権が不法な兵器の製造・開発を九〇年代にやめた理由について、「彼らはUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)(の活動)がより効果的で、捕まりたくはなかった」からだとのべ、国連の査察を恐れていたと主張、国連の査察活動が功を奏していたことを明らかにしました。

 さらにケイ氏は、九七−九八年ごろ、イラクの兵器開発の「システムはかなり腐敗していた」とのべ、イラクの科学者が兵器開発を偽ってフセイン元大統領に持ちかけ、研究・開発費を横領していたことを紹介。「そしてわれわれはそのことを見逃した」とも語り、CIAに責任があったと指摘しました。

 民主党のダシュル上院院内総務は、「情報当局の失敗がイラク戦争につながった」「誤った情報を基に下した(開戦の)決定」で米兵五百人が犠牲となったと指摘し、米政権を非難しました。

 ホワイトハウスのマクレラン報道官は二十六日、ケイ氏の一連の発言を受けて、「ISGの調査と戦争前の情報を比較しなければいけない」「フセインは危険な脅威であり、われわれがとった行動で世界はより安全になった」などと弁明、ISGの活動を今後とも続けていく考えに変わりはないとの考えを示しました。


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