日本共産党

2004年1月18日(日)「しんぶん赤旗」

列島だより

敬老パス

年金減り、介護保険料も上がる

通院、買い物…“頼みの足”

銭湯でも街頭でも署名

公衆浴場組合、老人クラブなど



鹿児島市 市民の運動で有料化“凍結”

計画断念させよう−これからが正念場

 鹿児島市がすすめようとしていた敬老パス有料化計画が市民の大きな運動でストップしています。しかし、市側がひきつづき有料化をねらっていることから、市民団体は年明け早々から「無料制度をつづけて」と署名運動をよびかけています。

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今年初の署名行動。生健会の訴えに応じる市民=9日、鹿児島市

 敬老パスは一九六七年にスタート。七十歳以上の市民は市内の市電・市バス、民営バスが無料です。九四年には市内の公衆浴場を年二十四回利用できる「入浴券」制度もできました。「感謝の気持ちを表し、健康で生きがいに満ちた日々を過ごしていただく」というのがその理由でした。

連絡会を結成

 ところが、昨年三月に有料化を打ち出し、七月には予算案に盛り込んできました。

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公衆浴場の番台でも「有料化なんてとんでもない」と署名=9日、鹿児島市

 市民はいち早く、「『敬老パス』の継続を求める連絡会」(山中光一代表世話人)を結成。連絡会の「無料の『敬老パス』は鹿児島市福祉のシンボル、無料の『すこやか入浴券』は温泉のまちにふさわしい福祉と健康の制度。現行制度を続けてください」との訴えは共感を呼び、全市的な運動に広がりました。五回にわたって赤崎義則市長に提出した署名数は一万四千二百三十九人分にのぼります。

 市内の三百ある老人クラブの半数近くが「連絡会」に署名を届け、五十三公衆浴場の七割以上が運動をすすめ、銭湯の番台で署名を集める光景も生まれました。

 街頭での宣伝・署名行動では「団地下に大きな店ができ、近くの店がつぶれ、毎日バスを使って買い物にいく」と訴える高齢の女性や「おばあさんの楽しみを奪う。人工島などむだ遣いをなくしたらいい」と中高校生も怒り、署名に応じました。

 「連絡会」の呼びかけにこたえた老人会会長で商店主の女性(70)は「敬老パスがあれば、県民交流センターや健康の森に、息子に頼まなくても会員同士で行ける。年寄りの健康と生きがいだけでなく、まちの活性化にもつながっていると、メーカーの人々にも協力してもらいました」とも話しています。

党市議団も速報

 日本共産党市議団もニュース速報なども出し、「大型開発のむだな人工島工事費の市負担をやめれば、無料制度は存続できる」と反対運動を呼びかけました。

 議会の各会派も七月実施に反対しました。こうした運動の広がりに、市は予算案を「凍結」するとともに、九月議会では、日本共産党の追及に「実施には期間が必要」と年度内実施が困難であることを表明せざるをえませんでした。

 もともと市が有料化を打ち出してきた背景には合併問題がからんでいます。「合併で福祉の後退はない」としてきた市側ですが、十月末の一市五町による合併協議会では、合併時までに有料化実施時期を決めるとしています。

 「連絡会」は「市側は合併がらみの有料化をねらっており、これからの運動が大事。なんとしても阻止したい」と決意を新たにしています。四月の市議選では敬老パス問題が大きな争点になりそうです。

 (鹿児島県・尾上輝 海記者)

札幌市 現行制度の存続 何としても

請願署名2万4000人

 札幌市に住む七十歳以上の高齢者が市営交通や民間バスなどを無料で利用している敬老パス(敬老優待乗車証)が改悪されようとしています。通院や買い物など、高齢者の暮らしや生きがいを支える「大切な足」を守ろうと運動が大きく広がっています。

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道行く高齢者が次々と署名した連絡会の宣伝=昨年11月、札幌市

 現行制度の存続を求めて昨年十月に結成された「札幌敬老パスを守る連絡会」。市内約五百の老人クラブに呼びかけ、宣伝行動にとりくみ、十二月には現行制度存続を求める請願署名約二万四千人分を市議会に提出しました。

 「病院へ行くにも、買い物に行くにもパスがないと困ります。年金は減り、介護保険料は上がる。敬老パスが変えられるとたくさん困る人がいます」−清田区の釜澤久子さん(72)は、要望書を上田文雄市長に直接手渡し、現行制度の存続を求めました。

一部負担導入へ

 昨年、「見直し」を表明した札幌市。二年に一度のパスの更新時期となる今年秋に向けて、一部負担の導入などをねらっています。

 日本共産党の札幌市議団は「制度の縮小・改悪は許されない」と議会で繰り返し市の姿勢をただしてきました。

 市の高齢者の約半数は年収二百万円未満。四人に一人は百万円未満の収入です。少ない年金で生活する多くの高齢者にとって、通院などにかかせない敬老パスは「命綱」となっています。

 市民五千人を対象に市が実施したアンケートの中間発表(十二月)では、「現行のまま」が54%(対象七十歳以上)と、「見直し縮小」35%を大きく上回っています。

 連絡会に加入した手稲富丘老人クラブ会長の工藤博さん(83)は語ります。

他に削れるはず

 「会員のうち、七十歳以上の全員が敬老パスを利用しています。私も老人クラブの例会や通院などで、毎月二十日間以上は利用しています。もし有料なら毎月二万円ほどの交通費を負担しなければなりません。市の財政が大変なこともわかりますが、もっとほかに削れるところがあるのではないでしょうか。例えば市の幹部職員が天下りをして多額の収入を得ています。そういう状況を変えるべきだと思います。敬老パスの存続を強く希望します」

 (北海道・橋田智寛 記者)

 札幌市の敬老パス制度 現在、市内の七十歳以上の高齢者約二十万人の八割、約十六万人が利用しています。一九七五年に開始。九七年に「行革」の名のもとに敬老パスの改悪案が出され、全員交付から希望者が出向いて受領する方法に変えられましたが、制度存続を求める八万六千人分の請願署名を提出するなど老人クラブや同連絡会は運動を大きく広げ、制度そのものは守りました。



わが街 ふるさと

温泉、九谷焼、野鳥の楽園「鴨池」

石川・加賀市
地図

 石川県の最南端、福井県との県境に位置し、面積一五三・三九平方キロメートル、人口約六万八千人の加賀市。東に白山連峰をあおぎ、北に国定公園加賀海岸、中心部には豊かな田園風景が広がっています。山代、片山津の二つの温泉を中心とする観光都市です。

 加賀市は九谷焼発祥の地であり、焼き物が盛んです。市は市内最古の窯跡を復元保存し、江戸、明治時代の伝統的な作品を展示、体験もできる「九谷焼窯跡展示館」や古九谷の作品が展示されている「九谷焼美術館」を整備し、公開しています。また、「硲(はざま)伊之助美術館」(吸坂焼=すいさかやき)など個人美術館もあります。

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氷の鴨池で羽を休める水鳥=日本野鳥の会提供

 また、北前船の町として栄えた橋立町の町並みを保存し、旧船主邸を市の資料館として整備、公開しています。日本海の荒波を越えて、瀬戸内、大阪、北海道まで出かけていった北前船の雄姿と商魂たくましい先人に出合うことができます。

 県指定の天然記念物であり、ラムサール条約に登録されている「片野の鴨(かも)池」は、全国でも有名な野鳥の楽園です。「鴨池観察館」ではカモやガンなどの観察ができ、坂網猟(さかあみりょう、県指定民俗文化財)といわれるカモ猟が保存され、いまでも猟師さんによって、受け継がれています。

 加賀市が生んだ雪博士・中谷宇吉郎の功績を伝える「雪の科学館」や山を愛した深田久弥の「山の文化館」など市の展観施設九施設を三日間千円で回れる共通入館券の発行や一日七百円の周遊バスも運行しています。

 市内には一向一揆の歴史や前田藩ゆかりの寺院が数多く、歴史と文化を今に伝えています。白山の水で造られるお米やお酒、日本海の海の幸などおいしさもいっぱいです。

 小泉内閣の国民負担増の政治で、市の観光も厳しい状況です。日本共産党は市の自然や伝統文化を生かした観光行政を提案して奮闘しています。

 見るもよし、食べるのもよし、温泉でもゆったりできる加賀市にぜひおいでください。

 (新後ゆき 子市議)


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