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2025年2月28日(金)

きょうの潮流

 戦前の「鮑(あわび)争議」で知られる岩手・大船渡の綾里(りょうり)の海は昔からの好漁場でした。今ではワカメやホタテ、カキの養殖も盛んに。さまざまな海の幸を育んできたのが豊かな森でした▼その山々が炎につつまれました。600ヘクタールをこえる面積がすでに焼失し、住宅の延焼も次つぎに。火災に巻き込まれたとみられる遺体も発見されています。大船渡市は3千人以上に避難指示を出し、消火活動は今も続いています▼「このまま死ぬかと思った」「生きた心地がしなかった」。命からがら逃げてきた人たちは山火事の恐怖を口々に。一刻も早い鎮火と避難した人たちの支えが必要です▼この地域の住民の多くは東日本大震災の津波も経験しています。なかには、夫を津波で失い、こんどは家までも…とぼうぜんと立ち尽くす人も。なんで自分たちがこんな目に遭わなければならないのか。やりきれない思いが募ります▼米ロサンゼルスのすさまじい山火事の様子を目にしたばかり。猛威をふるった火勢の要因の一つに、直近の降水量の極端な少なさが挙げられていました。大船渡でも乾燥注意報が何日も続き、このところの降水量は平年のわずか8%にとどまっていました。カラカラの状態と強風。専門家は世界的に山火事が起こりやすい気候になっていると指摘します▼災害に強い国づくりをいうならば、政府は環境の変化に対応した策を。震災後に、またも被災した人たちの心身のケアと生業(なりわい)の支援とともに、豊かな森を守る手だてが求められています。


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