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2023年8月29日(火)

きょうの潮流

 あたしはもう黙らない―。突然の退去を突きつけられたシングルマザーたちが公営住宅を占拠。訴えたのは、人としての尊厳でした▼ブレイディみかこさんの新著『リスペクト―R・E・S・P・E・C・T』はロンドン五輪後に起きた実際の住民運動がモデルです。地域の再開発のもと、もとから住んでいた貧しい人たちが追い出される。そんな理不尽なやり方に対し女性たちが連帯して立ち上がります▼草の根の運動は多くの支持を集め、行政を追いつめていきます。いまやロンドンに限らず「都市の高級化」によって土地や建物が資本家に買い占められ、住む場所さえ奪われていく人々。格差の拡大はあらゆる分野であつれきを生んでいます▼英国上位企業の経営者の報酬が労働者の賃金の118倍にも。本紙国際面に載っていました。物価高で多くが苦しむなか、異常なまでの格差。労組の全国組織は「すべての人の生活水準を引き上げる経済が必要」だと▼貧しいということは、単にお金がないということだけではない。それが理由で、ほかの多くのものまで奪われてしまっている。何かを教わる機会や新しい環境にであうチャンス、自分に対する自信とか…。本の主人公が貧困への思いを▼「この国の政治が人々のために資産を使い、人々の尊厳を守るようになるまで、あたしたちが黙ることはありません」。パンと薔薇(ばら)をもとめ、人生の当事者になると宣言する彼女たち。たゆまぬ運動と団結が社会を変えていくと呼びかけるように。


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