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2023年8月12日(土)

差別と歴史否定 告発

東京 朝鮮人虐殺100年でシンポ

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(写真)シンポジウムで話す鄭さん(左から2人目)=11日

 「関東大震災の朝鮮人虐殺から100年 レイシズムと歴史否定を考える 国連特別報告者を迎えて」と題するシンポジウムが11日、都内で開かれました。今も人種差別が課題であり続けていることなどを議論しました。

 第1部では、人種差別などに関する国連特別報告者を務めたドゥドゥ・ディエンさんがオンラインで発言しました。ディエンさんは2001年、アフリカで開かれた「反人種主義・差別撤廃世界会議」(ダーバン会議)を受けて国連特別報告者となりました。

 ディエンさんは2005年に来日し、被差別部落、在日朝鮮人やアイヌなどの状況を調査し、差別の構造を植民地主義が支えていることを指摘しました。

 ディエンさんは「私たちの社会は多元的で多文化的である。昨日の隣人はきょうの敵になる。アイデンティティーは絶えずつくられ、多層的である」と指摘し、多元主義と対話の原則が大事だと強調しました。

 この報告を受けた座談会では、社会学の鄭暎惠(チョン・ヨンヘ)さんが、「駅で突き落とされるかもしれない、路上で刺されるかもしれないといった不安はみんなが持っていて当たり前と思っていた」とレイシズム(人種主義)を受けてきたストレスの大きさを語りました。

 実際に自分の車のタイヤに大きなくぎが3本刺さっていたこと、自宅のマンションにブロックが投げ込まれたこともあったと話し、「朝鮮人虐殺100年。私自身、歴史・記憶とたたかうことでしか生きられない。不都合な事実としても、あったことをなかったことにしない。そこからお互いを理解することができる」と話しました。

 主催者が、2022年に起きた東京都総務局人権部による、飯山由貴さんの作品の検閲・上映禁止事件について紹介。今も政府が朝鮮人虐殺を否定するような言動をしていることが指摘されました。

 第2部では世界各地のレイシズムの現状が報告され、ディスカッションが行われました。

 主催者を代表して、東京大学の外村大さんが「今年は関東大震災100年。軍と警察、民間人によってつくられた自警団の手で多くの朝鮮人が虐殺されたにもかかわらず、日本政府および東京都は謝ることもせず、調査さえ行っていません。歴史の否定が何を引き起こすのか考えていきたい」と話しました。


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