2023年7月28日(金)
きょうの潮流
「小さな政府」、新自由主義経済など米国の保守政治を象徴したのがレーガン大統領(在任1981~89年)でしたが、同氏は、歴代大統領で唯一、労働組合の委員長経験者でした▼レーガン氏がかつて委員長を務めた全米映画俳優組合が14日からストライキに入っています。脚本家組合との同時ストは63年ぶり。当時、俳優組合を率いたのがレーガン氏でした。ただ大統領就任後は、連邦航空管制官のストに介入し、1万人以上を解雇するなど「20世紀で最も反労組の大統領」と評されました▼レーガン時代に押し込められた労働運動が今、再び盛り上がりを見せる米国。ハリウッドをはじめ輸送、自動車業界でも労働協約の改定時期を迎え、労組はストも辞さない構えに、「熱い労働運動の夏」と注目されています▼映画テレビ業界の俳優たちは、ネット配信時代にふさわしい賃上げ、人工知能(AI)の規制と、生活保障の抜本改善を求めます。俳優たちの生き残りを懸けたたたかいです▼ハリウッドと聞けば、きらめくスターを連想しますが、それはほんの一握り。ひとたびストとなれば、多くはアルバイトで食いつながなければなりません。わずかな貯金を取り崩すことに▼それでもスト実施を決めた俳優組合のドレシャー委員長は力強く訴えました。「俳優たちが直面する問題は今、あらゆる労働現場で起こっている」と。富を労働者に還元しない強欲な経営陣は「歴史の流れに逆行している」と喝破しました。たたかう者の誇り高い言葉です。








