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2023年7月2日(日)

きょうの潮流

 映画やフィギュアスケートでおなじみの曲を作ったロシア出身の音楽家、セルゲイ・ラフマニノフが生誕150年。いま各地で記念コンサートが開かれています▼没落貴族の家系出身のラフマニノフはロシア革命を機に亡命。その不安定な体験から「音楽というものは平和で平穏なところでないと成立しない」との言葉を残しています▼1901年に作曲された「ピアノ協奏曲第2番」は、ロシア革命前の時代の空気を感じさせます。ラフマニノフの音楽に憂鬱(ゆううつ)な印象が多いのは、当時の情勢が影響しているとの指摘も▼社会は音楽に影響を与え、時代と共に作品の解釈も変わります。例えば120年前に初演の、長崎を舞台に米軍人と現地妻との悲恋を描いたオペラ「蝶々夫人」。今では新しい視点の登場で解釈が広がり、性差別、DV、児童虐待といった要素やシングルマザー、同性愛にまで光が当てられます▼音楽は時に社会にメッセージを与えます。オーストリア帝国に支配されたチェコを、音楽を通して抑圧から解放したスメタナ作曲の「わが祖国」はその一つ。音楽の研究者らは「社会の窓として芸術作品を見る」「世界をよりよく見るための想像力の道具」と音楽と社会の関係性を解き明かします▼再び祖国の土を踏まなかったラフマニノフ。晩年に残した「交響的舞曲」でロシアへの郷愁を感じさせ、ナチスに侵攻された祖国救済活動にも参加、望郷の念を抱き続けました。彼が今のロシアを見たら、どんな音楽を作るのでしょうか。


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