2022年9月24日(土)
英労組、市民、左派議員が共闘
物価高・貧困… 抜本策を
ロンドン郊外で集会
“財源は富裕層への課税”
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【ルートン(英南部)=桑野白馬】深刻な物価やエネルギー価格の高騰に直面する英国で、「団結して命を守ろう」と呼びかける動きが広がっています。労組や、貧困とたたかう市民団体、労働党の左派議員らが共闘する組織「もうたくさんだ」が各地で集会を開き、富裕層への課税を財源とした抜本的な対策を求めています。
ロンドン郊外のルートンでは22日、約1000人が集い、賃上げや貧困対策を行うよう求めました。「ルートンでは過去に例のない規模」(主催者)となり、清掃員や看護師をはじめ労働組合の代表や国会議員が次々と登壇。演説に拍手や歓声が湧き起こりました。
国民保健サービス(NHS)組合のヘレン・オコナー企画担当は「保守党政権の政治はひどいが、資本主義と民営化こそが生活を破壊する根本原因だ」と指摘。劣悪な環境で働くNHS職員の離職が相次いでいるとし、「戦争や富裕層に使う金をNHSに回すべきだ」と語りました。
教師をしている女性は、家庭で食事をとれない子どもが増加していると警告します。トラス新首相がストの禁止を示唆していることについて「ストで教育に影響が出るのではない。教育をおとしめるのは、子どもに投資しない政府だ」と訴えました。
最大野党・労働党のザラー・スルタナ議員は「特定の企業が空前の利益をあげる一方、貧しい人たちが増える。これが資本主義だ」と批判。「『もうたくさんだ』と声をあげ、一緒に街頭に繰り出そう」と呼び掛けました。
話を聞いていたフィオーナさん(55)は「私たちの怒りが詰まったこの運動は、英国の転換点になるだろう」と強調。貧困や格差拡大を終わらせるため「団結して富裕層向けの政治に立ち向かう」と語りました。
「もうたくさんだ」は、▽物価上昇に見合う賃上げ▽エネルギー価格の引き下げ▽貧困の一掃▽すべての人への良質な住宅の提供―を求めています。10月1日には全国で大規模な集会を開く予定です。